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王様とかんむり

遠い国のできごとです。

その国には、いつもあたまをひねっては

うんうんなやんでいる王様がいました。

王様は、誰もがうらやむほど

おおきなおしろにすんでいて、

毎日、たらふく、おいしものを食べているのに。

いったい、なにが不満でなやむのでしょう。

なんとも、ふうがわりな王様なのです。

そっきんや、だいじんたちは

かげで王様のことを、おかしな王様だといって

おなかをかかえてわらっていました。


ある日、王様はだいじんをよんでこう言いました。

「わたしは、特別につくらせたこの《かんむり》を賞品にして、

大会をひらくこととする。 すぐに、そのじゅんびをするように」

だいじんは、ふしぎそうなかおで王様に聞きました。

「おことばですが国王へいか、

それは、いったい、どのような大会でしょうか」

王様はふきげんそうなかおでこたえました。

「国王であるわたしを、あっとおどろかせ、喜ばせるような

なにかを、みなにもってこさせるのだ。

わたしがそれをみて、ほしいとおもうような、すばらしいものだ」

だいじんは、そっきんたちとかおをみあわせ、

やはりふしぎだ、というようなかおをしましたが

とにかく、国中におふれをだしました。


あのすばらしくごうかな《かんむり》がもらえるのならば

と、国中のひとが、この大会にむちゅうになりました。

さまざまな品をもって、おしろをでたりはいったりするようになりました。

空色の鳥のはねや、金色にかがやく豚のしっぽなど

めずらしい品々をみても、王様はふきげんそうにくびをふるだけでした。

とても豊かな国ですから、ものはあまるほどあったのです。

けれども、そのどれも、王様をあっと喜ばせることはできませんでした。


王様はいったい、なにをもとめているんだろう。

国中のひとたちは、あたまをひねりました。

きっと、ものではないのだろう。とも、かんがえました。

あるひとは、じぶんの家族をつれて、めずらしい品はもたずに

王様のまえにあらわれました。

「わたくしめの宝は、このこどもたちでございます」

とその人がいうと、王様はすこしほほえんで

「そうであろう」

とだけ、言いました。

けれど、《かんむり》はあげませんでした。


またあるひとは、何ももたずに、たったひとりで、

王様のまえにあらわれました。

「わたくしめの宝は、このわたくし自身でございます」

とそのひとがいうと、王様は手をたたいて

「それは、じつにしゅしょうである」

といって、ほうびに、そのひとを王様のおしろをまもる

えいへいにしてあげました。

けれども、やっぱり《かんむり》はあげませんでした。



ある日のことです。

王様はふきげんそうなかおで、だいじんにこう言いました。

「だいじんよ、そろそろ国中のすべてのものが、きたのだろうか」

「ええ、ほとんど、すべてでございます」

「ほとんど、だと?

まだ来ていないものが、あるというのか」

だいじんは、まごまごしながら

王様のふきげんそうなかおをちらちら見つつ、こたえました。

「ひとり、いるようですが…あのものは…」

王様はさらにふきげんそうなかおになり

「いるのであれば、つれてきなさい!

そのものもだめなようであれば、あんなかんむりは、こなごなにしてやる」

だいじんはおどろいて、はしって、どこかへいきました。


しばらくして、だいじんといっしょに、ひとりの男のひとがやってきました。

なんて、汚いかっこうだろう
あれはきっと、こじき、というものではないのですか
王様は、あんなものにも、会おうというのか
なんてことでしょう、ああ、なげかわしい

王様はふきげんそうなかおのまま、その男のひとに言いました。

「そなたには、あのおふれがとどかなかったか」

まずしいひとはこたえました。

「とどいておりました」

「それでは、なぜ、ここへ来なかったのか。

あの《かんむり》がほしくはないのか」

「そんなことは、ございません…

わたくしめは、ごらんのとおり、貧しいくらしをしておりますので

あの、めもくらむような《かんむり》をいただくことができたなら

どれほどのさいわいであることかしれません…」

王様はさらにふきげんそうなかおになって言いました。

「ならば、なぜ来なかったのだ」

まずしいひとは、おそるおそる、話しはじめました。

「わたくしめには、みなさまのように、めずらしいものを買うような、お金がないのです。

また、わたくしめには、こどももおりませんし、

ひとさまにほこれるような、とりえもございません…

ですから、くることができなかったのです」

きえいるような、ちいさな声ではなすそのひとをみて

こころの優しい王様は、かおだけはふきげんそうなまま、こう言いました。

「それでは、そなたに、わずかばかりだが、ざいほうをやろう。

それで、くらしてゆくがよい」

それを聞いて、まずしいひとはこたえました。

「いいえ。それはいただけません」

「なぜだ?

そなたは、金にこまっているのであろう?

えんりょはいらぬ。うけとるがよい」

「いいえ、王様。

わたくしめは、貧しいくらしをしておりますが、

お金のないことを、不満に思ってはいないのです。

ですから、ざいほうをいただくことはできないのです」

王様はふしぎそうに、くびをかしげました。

「しかし、これはほうびだ。

なにかとらせるから、何がほしいかをいえ」

するとまずしいひとは、いままでうつむいていたひたいを

すっと、しずかにあげて、こうこたえました。

「それでは、あの《かんむり》を、いただきとうございます」

それを聞くと王様は、まっかなかおでおこりだし

おおきな声で、どなりました。

「そなたは、さきほど、ざいほうはいらぬと、もうしたではないか!」

まずしいひとは、まっすぐ王様の目をみてこたえました。


「あの《かんむり》は、ざいほうではありません。

おふれがでてからというもの

国中のひとが争ってばかりいます。

《かんむり》がほしいために、ひとをだましたり、殺したり…

わたくしめは、あのおふれがでるまでは

ちいさな畑をたがやして、家族と幸せにくらしていたのです。

《かんむり》ほしさにくるったひとたちによって、いまのような姿になったのです。

ですから、その《かんむり》を

いまこの場でたたきこわしてください。

それいがいのものは、なにも、欲しくはありません」



おしろのなかが、しん、としずかになりました。



すこしして、王様はだまっておうざから立ちあがると

《かんむり》をつかみ、えいっとなげすてて、

こなごなにくだいてしまいました。

それをみて、まずしいひとはすこしだけほほえみ

さっさとおしろをあとにしてしまいました。





まずしいひとの姿が見えなくなると

王様は、あたまのうえにあるおうかんを手にとり

それをだいじんにわたすと

しずかにおしろを去っていきました。



遠い国のできごとです。

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NoTitle

深い話ですね・・・
貧しくても、幸せに暮らしてる人がいますね
うん。
争うのはお金を持っている人たちです
犠牲になるのは、貧しい人たちです
悲しいことですね

貧しくても幸せな暮らし
素敵だと思います。
もし、何かを求めるなら・・・
お金持ちの人に邪魔されないような
そんな強さがほしいですね^^

NoTitle

ころなさん、おはようございます。

お金では買えないものがあるんですよね。
お金より大切なもの、たくさんあるのに
みんな、お金があれば幸せになれると信じてるようです。
人生の栄冠は、足るを知る人の頭上にあるのだと思います。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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