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記念日

青空を
切り裂くやうな
音がして
胸騒ぎを誘う
轟音が聞こえ
空を見上げる
きつと飛行機でせう
ずいぶん低くを
飛んでいますね
人々は
小さな胸騒ぎを
呑み込んで
何事もなかつたやうに
日常に
すぐさま戻つてゆく
それが
義務でもあるかのやうに
轟音は
近づいてくる
人々は
そのとき
眠りに就かうとしていたり
食事を摂らうとしていたり
妻子と遊んでいたり
なにかの努力をしていたり
世界平和を祈つていたり
その人々の
からだは
数秒後
大小無数に千切れて散らばり
焼け焦げて
灰になる
轟音の正体が
なんであるかも知らぬまま
それは
誰かが切つた
トランプのカードだ
死神の顔を載せた
冷たい愛国心が
人々の頭上に届く
日常のままに
影になる
うち崩れた壁に
コンクリートの瓦礫の上に
人々は影になる
一瞬のことだ
権力者の
政治的射精のために
武器商人の利益のために
人々は影になる
塵になる
歴史を思へば
螺旋状に脈打つてきた
幾多の殺戮が
きらめいている
誰かが切つた
トランプのカードが
誰かの日常の上に落ちる
光が破裂する
おおきなきのこが
幾千万のいのちを吸う
もうわかつていることだらうに
人はそのボタンを押す
必ず押す
その日は記念日になるだらう
長崎や広島のやうに
語り継ぐものが
残つていたなら

詩人にそのとき
できることはなにもない
きつと皆と一緒に
冷たい影になるのだらう





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secret

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comment

詩を拝読させていただきました。

 僕がPCの前を離れていた間に偕誠さんがお書きになられた詩を拝読させていただきました。どこがという指摘は出来ないのですが、変わりつつある、という印象がします。詩を書き続けるという意志がそうさせるのでしょうか。

>人々は
>小さな胸騒ぎを
>呑み込んで
>何事もなかつたやうに
>日常に
>すぐさま戻つてゆく

せわしいく感じさせるのは、自分の身体を流れる時間と周囲の時間の速さが異なること、自分の現実と世界の現実との歪が大きすぎること、そして、何よりも自分自身が規則で自分を縛りあげてしまうからなのでしょうね。
今日一日の休暇を取ったとしても、明日には仕事に戻らないと、と。
詩を書くことは一瞬の感情の世界の静止であると言われた方がいました。
止まった空間には永遠がある。だから詩の世界は永遠なのだ、と
僕はその世界に手が届きませんが、偕誠さんの指先でなら触れることができるのかもしれません。
ご多忙とご推察致します。
ご体調など崩されませんようにお祈り致しております。


otosimonoさん

コメントありがとうございます。

>  僕がPCの前を離れていた間に偕誠さんがお書きになられた詩を拝読させていただきました。どこがという指摘は出来ないのですが、変わりつつある、という印象がします。詩を書き続けるという意志がそうさせるのでしょうか。

ぼくも書いた後に読み返して
すこしそんな気配を感じていました。
思うに、それは今まで書いてきたものに対して
「責任を負う」覚悟ができたことが現れつつあるのかもしれません。
それはプチパリでの、otosimonoさんとの対話の中で生まれたものです。
いまはまだ、この新しい手綱に慣れていません。
けれど慎重になれば失う気もしています。
結論はやはり、書き続ける、ということしかないようです。


> せわしく感じさせるのは、自分の身体を流れる時間と周囲の時間の速さが異なること、自分の現実と世界の現実との歪が大きすぎること、そして、何よりも自分自身が規則で自分を縛りあげてしまうからなのでしょうね。
> 今日一日の休暇を取ったとしても、明日には仕事に戻らないと、と。
> 詩を書くことは一瞬の感情の世界の静止であると言われた方がいました。
> 止まった空間には永遠がある。だから詩の世界は永遠なのだ、と
> 僕はその世界に手が届きませんが、偕誠さんの指先でなら触れることができるのかもしれません。

「一瞬の感情の世界の静止」とは、まったく同感です。
切り取る、というか、スケッチするというのか。
うまく表現できませんが、そこを目指していることは間違いありません。
自分と世界との歪のなかに、その空間があるのかもしれません。
あるいはその入り口が。
その鍵は不意に訪れては、ペンをとる暇も与えずに消え去ってしまったりします。
その残影を追い、網膜の一瞬の記憶をさぐり、いつかそこに触れたいと思います。
今後も道案内をよろしくお願いします。

> ご多忙とご推察致します。
> ご体調など崩されませんようにお祈り致しております。

ありがとうございます。
日中もすっかり寒くなって参りました。
otosimonoさんもなにとぞご自愛専一になさってください。
いつも本当にありがとうございます。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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