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植木屋の爺が
その年輪のようなしわに模様された
ごつごつしたかたい手で
やわらかく蝉をつかまえた

やかましく
ほうぼうから聞こえる蝉の声
太い幹にむらがっていたり
こずえのほうから叫んでいるようだったり
熱せられた電柱にしがみついていたり
けれどもその爺につかまった蝉は
ずいぶん前から地上にいた

日陰で
休んでいたその蝉は
羽が片方ちぎれていて
どうやらもう飛べないようだ
植木屋のあんちゃんが来て
足袋のつまさきでころがしたときなどには
狂ったようにもがきまわり
残された片方の羽を土にこすりつけながら
くるくる、くるくる
回ったりしていたが

時雨のように降りかかる
蝉たちの声のかさなりの中で
そいつはいっこう鳴こうともしない
もっとも
おおきな声で鳴いたところで
助けにくるものもないだろう
いつどこで羽を失ったものかぼくは知らないが
ずいぶん間抜けなやつなのだろう
ちいちゃな枯葉のようなその羽
ちぎれてみすぼらしいその羽を
ぼくはぢっと見つめていた

そのちかくには
こま切れにしたなにかを運搬する蟻が無数にいた
からからに干された蚯蚓がいて
そこにも蟻がむらがっていた
仰向けにこらがったカナブンのむくろにも
いままさに蟻があつまってきて解体をはじめていた
ぼくはそれらをぢっと見つめながら
弁当をほおばっていた

夏の
鋭利なやいばのような陽のしたで
それらの活動はむきだしに晒され
ぼくのからだの骨まで晒され
あまりにも露骨に生死がそこに晒されて
どのむくろも生き生きとむくろだった

植木屋の爺は
つまみあげたその蝉を
そばのちいさなアオダモの葉によせて
ほら、がんばれよ
などと言って励ましているが
奴はびいびい鳴いてあばれるばかりで
ちっとも枝につかまろうとはしないのだ





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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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