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日記4-5

昔むかし
若いころには
自分には無限の可能性があって
自分が職業を選び、
自分が家族を選び、
自分が生活水準を選び、
自分がなんと呼ばれるかを選び、
自分が歩んでゆく道を選ぶのだと思っていた。
自分自身で、選んでゆくのだと思っていた。

選ぶという作業を億劫がって
めんどくさい、メンドクサイと言って
先延ばしにしていた。
選択肢が無限のように
あるかのように見えたからだ。
手元にある何百、いや、何億ほどのひも
そのどれをひっぱると
とおい「未来」と呼ばれるもののなかの
どれにあたるのか。
そんなことはわかりっこないことだと思っていた。

そのうちにやればいいと、先送りにしながら
ずるずると生きてきて
ふとしたときに、手元にあるひもの数が激減していることに気がついた。
それでもまだ放っておいた。
いつでも選べる、と思っていたからだ。

そのひもを、いよいよたぐりよせようと
ひさしぶりに手元を見たとき
手元にひもはひとつもなくなっていた。
吃驚して、まわりをみわたした。
ずいぶんながいあいだ、真空のような時間が過ぎた。
そうしていま自分がどこにいるのかを理解した。

そこは精神病院の閉鎖病棟だった。

そこで気づいたのだろう。
自分が選ぶのではなく
自分が選ばれているのだということ。

選択肢がなくなって、かえってぼくはすっきりとした。
もう何者にもなろうとしない。
ぼくはぼくだけを目指しつづける。
運命はすべて甘受する。
よいもわるいも、わらって泣いて。
そうして「先」のない宙ぶらりんのひも
今日もひっさげて生きている。





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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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