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煙草

煙草を買い忘れてしまった
いまから買いにいくのも面倒だ
そんなときぼくは
二階にあるぼくの机の引き出しをまさぐって
普段とはちがう銘柄の煙草をとってくる
これは父ののこした煙草だ
これが最後の一箱だ
父が吸うために買っておいた 最後のひとつだ
ずいぶん前に買ったのだ

来月は
父の三回忌
父が吸うはずだった煙草を吸いながら
父の息子だった時代のことを
なんとなく思い返している

あの人が生きたために
ぼくが生まれた
姉が生まれ
妹が生まれた
そして姉は男児と女児を生んだ
めくるめく
生の連鎖に
みぶるい ひとつ

父の最後の一言を
聞き取ることができなかった息子は
あのときの父の苦しみにゆがんだ顔を
まだ
まだ
鮮明に思い出しては
そのたびに うっ と胸をつまらせている
それは煙草のせいではあるまい






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secret

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No title

父の思い出・・・
思い出として残ること、素晴らしいです
思い出すだけでも
父は喜んでくれるはずです。

No title

きっとお父さんも、偕誠さんの近くで煙を吸ってることでしょう
そんなふうに思ってもらえるだけでも
きっとお父さんは喜んでいらっしゃると思います

七瀬さん

コメントありがとう。


> 父の思い出・・・
> 思い出として残ること、素晴らしいです
> 思い出すだけでも
> 父は喜んでくれるはずです。

そうだといいですね。
死んでしまった人は、たくさんのことを教えてくれます。
ぼくもそうなれたらいいな、と思うので
今日も真剣勝負を、楽しんで生きます。

陽炎さん

コメントありがとう。


> きっとお父さんも、偕誠さんの近くで煙を吸ってることでしょう
> そんなふうに思ってもらえるだけでも
> きっとお父さんは喜んでいらっしゃると思います

ははは。ぼくのはいた煙を吸い込んでる親父を想像して
笑わせてもらいました。それ、コミカルでいいですね。
彼は公務員だったのでひげを毎朝剃っていました。
退職したらひげをたくわえるんだ、とよく言っていたのを思い出しました。
風呂場の鏡に映った、ひげつらを見て。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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