091234567891011121314151617181920212223242526272829303111

日記6-14

ながい一週間だった。
長かったのか、いや、長いと感じただけなんだけど。

復帰2週目。
10日で32歳になった。
誕生日には、毎年ではないけれど
なにかいやなことが起こることが多いので
その日もすこし身構えていた。
仕事もはかどり、事故もミスもなく終わって
やれやれ杞憂かと、事務所に戻ってみると
前の社長がそこで仁王立ちにぼくを待ち構えていた。
まあ、いろいろと、言いたい放題言ってくれた。
いちいちここに書かないし、日記にも書かない。
心のなかにも残さない。
帰って妻ちゃんに話して終わり。

別に、誰にどう思われてもいい。
ぼくはそんな狭い世界に生きるのはいやだ。
言いたい人は言えばいいし
蔑みたければ蔑めばいい。
そんなもの、ぼくの人生にとってなんの価値ももたない。
怒りは、その人を小さくする。
それを呑みこんだぶんだけ、人を大きくすると思う。



昨日は妻の叔母の1周忌。
礼服じゃ暑い。
適度に刈られた芝生の上にぞろりと並ぶ墓石の列。
つやつやと日光を跳ね返す黒い石、鼠色の石。
刻まれた数々の墓名碑。
それらは生きた証などという言葉とは程遠く
言うならば死んだ証でしかないと思った。

正確なピッチで等間隔にならべられた墓石の下には
土工の汗とともに、石でできた四角い箱が埋められていて
そこに骨が放り込まれているに過ぎない。
墓地の工事をやった経験のせいでそう見えるのか、それとも・・・?

墓石の背中に刻まれた戒名は「釋」から始まるものが多かった。
うちの父もそうだ。夫妻そろって同じ宗派という偶然はありそうでなさそうだ。
聞きなれた般若心経。ぼくは暗唱できる。

子供のころ、あれは父が30代後半か、40代にはいったか
というくらいの頃、父は仕事から帰ってくると一人ひきこもった。
部屋に、ではなく、居間の隅で結跏趺坐を組み、自分のなかへひきこもった。
そして般若心経を唱えていた。何度も。
別に熱心な仏教徒ではない。父もぼくも。
だからそんなエピソードはすぐに忘れた。

それを思い出したのは、ぼくが自らの10代の終わりごろ
生きていく理由を尋ねまわり、「禅」にであったときだった。
深夜の部屋でひとり半跏趺坐、般若心経を唱えながら、思い出した。
あのときの父の重たい背中を、そこに再び見た。
いまでは禅のぜの字も思わない。すべて棄てたからだ。

そんなことを思い出しながら、昨日も
びかびか輝く陽光のしたで、坊主の読経にあわせて
ぼくも口のなかで静かにもごもご唱えていた。

若くして逝ってしまった叔母を思った。
短い付き合いだったが、最後に入院した病院が
我が家からも近かったので、妻に連れられしょっちゅうお見舞いにいった。
淑女というにふさわしい立派な女性で、気高いひとだった。
立派に生き、そのまま亡くなられた。
その生きざまを思った。

読経も、焼香も、坊主に払う金も、墓石も、
それらはすべて無駄な装飾でしかないとぼくは思うけれど
亡き人を思い、自分の生と死を思うための
舞台装置としての意味があるのだろう、などと思った。
礼服の下に、熱い汗がいくすじもこぼれた。
9月に三回忌をむかえる父のことを
思わずにはいれらなかった。

ぼくが死んだら。




ぼくが死んだら
お墓になんて入れないで
写真は燃やして
できれば戸籍もすててしまって
なにもなかったことにして
生まれて死んだ
それだけでじゅうぶんなのだから
ぼくという
ひとつの
孤独の
魂が
あちらからきて
あちらへいっただけなのだから
ぜんぶ
なにもなかったことにして
そのまま
青い
空に還して
星をつかみに
でかけてゆくから






関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 ポエムブログ 散文詩へ
にほんブログ村

コメントの投稿

secret

top↑

comment

No title

私も、長い1週間でした。
今日になって、気分が落ち着いてきました。
やっと1週間が終わった感じです。

立派な生き方、あこがれますね
私はそんなことはできなくて
マイペース?
でも、周りに振り回されるんですよね><
自分の生き方
自分で決めたいです。

光里さん

コメントありがとう。


> 私も、長い1週間でした。
> 今日になって、気分が落ち着いてきました。
> やっと1週間が終わった感じです。

本当によかったです^^
負けずにがんばったんですね。
お疲れさまでした。


> 立派な生き方、あこがれますね
> 私はそんなことはできなくて
> マイペース?
> でも、周りに振り回されるんですよね><
> 自分の生き方
> 自分で決めたいです。

自分のペースでもいいし
もちろんどんな生き方だっていいと思います。
自分らしく、自分として
最後まで生き抜いた姿が素敵でした。
「ああ、よく生きた」
そう思える人生にしたいものですね。

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top↑

自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

リンク

Welcome!

OfficeK

応援おねがいします

ブロとも一覧

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR