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家族の揺動。

父の通夜式。


午前中、忙しくバタバタと準備してくれる妻ちゃん尻目に

二度寝…。かー。いけませんねー。これだから、いけません。

猫の鳴き声にはとびおきるのにねえと、妻ちゃん、グチってます。

「ねこおじさん」だそうですw

で、彼女はねこおばさん。お似合いじゃないかい。


なんとか起きて、いつもお世話になってる獣医さんのところへ

うちの新入りちゃんを連れていく。

かぜっぴき、おめめぐしゃぐしゃ、ノミは少ない、これらはお薬で。

先生の予想は、生後2ヶ月くらい。

ほかはいたって、健康。

あのこに欠乏してるのは、温もりだ。

先住猫さんと比べても、賢くて、自己主張もある。

強い意思を感じるきれいな鳴き声。

短めにきって、リズミカルに鳴く。

ごはんあげても、ミルクあげてもつづくけど

声かけてなでてやると、すぐとまる。

なんてかわいいんだ!!


なんて、甘い時間を過ごしていたら、あっというまに出発の時間。

妻の喪服姿ははじめて。なんか違和感。

さみしい違和感。


会場へは一番のり。

控え室でぼーっと待つ。妻はお茶のしたく。

長男の嫁、というプレッシャーを感じてるという。

そういう慣習がぼくはどうもすきになれない。

そんなの気にするな。

大事なのは、まごころじゃないのか。

やれるひとがやるのだ。

自分がやれることを、こころつくしてやればいいじゃないか。

無理しなくていいのですよ。


家族が続々あつまってくる。

新入りのねこの話で大盛りあがり。

妹、写真を見て悶絶。49日まてない、明日もらう!

などといいだす。…やだなあ。手放せないなあ。

バカ笑いしてると、係りの方がみえた。

湯灌式。

三名のスタッフさんがこころをこめて、父の体を洗ってくれる。

倒れてから一週間、とうさん、風呂はそんなに好きじゃなかったけど、

すっきりしたでしょう。よかったですね。

妻、号泣。


湯灌式おわり、一度控え室へ。

親戚の皆があつまりはじめる。

あえて、他愛もない話をいとこと楽しむ。

係りの方がみえて、次は納棺式。

棺に入れる前に、スタッフさんに頼んで、父の髪の毛をちょこっと

切らせてもらった。薄くもならず白くもならなかった父の髪。


みんなで父の体をもちあげて、ゆっくり棺へ。

手紙や、好きだった新聞をいれる。

ぼくはタバコを一本。

最後の一本だ。誰にも遠慮しないで吸ったらいいですよ。

酒もめしもがまんして、治療に専念した。

でもタバコだけは、足を切られるまでやめれなかった。

ぼくは自分も未だやめれずヘビースモーカーのままなくせに、

タバコを憎む。

でも、もういいじゃないか。最後の一本です。やってください。


式の途中、祖母がきた。母の母だ。

父は、ぼくの母の両親をこころから敬愛していた。

久しぶりに見た祖母は車いすで、髪の毛は真っ白になっていた。

それまでニヤニヤして我慢してたが、ばあちゃんをみて、一気に涙が溢れた。

一度、決壊すると、もうダメ。

くちびる噛んで、深呼吸。

ほんとうにいいお婿さんだった
やさしくて、やさしくて
ああ、きれいなお顔してる
ほんとうにやさしい人だった

ばあちゃん、もう、勘弁してください。

ぼくは今日は、笑顔でいたいんです。


式終わって、一同控え室へ戻る。

ぼくはしばらく戻れず、姿を隠していた。


その後、坊さんに挨拶し、通夜式。

読経の波の中で、うたたねのような曖昧さで

おもいでのなかに沈み込んだ。

気づけば、焼香がまわってきていた。


式が全て終わり、隣の部屋で、食事。

そこへも、ぼくはなかなかいけず、

父の顔をただぼんやり見つめる。

喪主は母だけど、ぼくは長男。

きっと、やるべきことは、たくさんあったにちがいない。

でも、ダメだった。

とことん、何もできなかった。



妻に手をひかれるようにうながされてやっと着席。

周りはもう出来上がっていた。


父のために多くの人が泣いてくれた。

そしていま、酒を組み交わして、わらってくれている。

なんて、ありがたいのだろう。

人って。

人の優しさに支えられて、やさしくなれるんだな。

ぼくはたくさんの人のやさしさにふれたから、

これをお返ししなくては、いけない。

やさしいひとになりたいとおもいます。

父の寝顔に誓った。


ベロベロに酔っ払った。なんとか、帰宅。



新入りのねこのお世話をしているうちに酔いはすっかりさめた。

きのう、ぼくが「みん」となづけたこのかわいい仔猫。

妹が親になるので、彼女の命名をしぶしぶ承諾。

「おかか」だって。

まあ、名前はなんでも、健やかに育ってください。

…しかし、第二候補の「のりたま」といい、

どうも妹は、ねこをふりかけか何かと勘違いしているようなのだ。



あすは、告別式。

いよいよ父と、いや、父の体と、今生の別れ。

眠れる気がしない。

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secret

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NoTitle

こんにちは。
自分の中でコメントどうコメントしていいのか、
そもそもコメントしていいものか悩みましたが、
書かせて頂きます。

お父さん、みんなから愛される素晴らしい方だったんですね。
なんか、読んでて凄く伝わってきました。
偕誠館主人さんも凄く辛いし、どうしようもない気持ちだと思います。
でも、凄く単純な言葉だけど、
頑張ってください!!

誰かのために泣ける、悲しめるという優しい心を持つ偕誠館主人さんなら、
きっと立ち直れると思います!

死後の世界がどのようなものか分かりませんが、
お父様もこれからの偕誠館主人さんのご活躍を祈ってると思います。

最後に勝手ながら、お父様のご冥福をお祈り致します。

Re

ばななんさん、こんばんは!

コメントありがとうございます。
とてもうれしいです。

> でも、凄く単純な言葉だけど、
> 頑張ってください!!
> きっと立ち直れると思います!

まっすぐなお言葉に、ぐっときちゃいました。
頑張ります。それだけが取り柄なのでw

> 死後の世界がどのようなものか分かりませんが、
> お父様もこれからの偕誠館主人さんのご活躍を祈ってると思います。

なんだか、背中の荷物がひとつ増えた気分なのです。
もちろんよい意味です。
やっと、自分はもうこどもじゃいられない、と思い至ったというか。
やるぞ、という思いです。

> 最後に勝手ながら、お父様のご冥福をお祈り致します。

ほんとうにありがとうございます。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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