061234567891011121314151617181920212223242526272829303108

裏切る春

待ちわびていた春の訪れの
歓迎会に遅刻したんだ
春はみんなにあたたかく迎えられ
みんなをあたたかく包み込んだろう

ぼくはあれほど待ちわびていたというのに
歓迎会に間に合わなかったので
気づけばもう春はすっかり知らん顔で
あたりまえのように町にあふれていた

野良猫にも池の亀にも蜜蜂にも
春はあたたかいその手を差し伸べているのに
歓迎会に間に合わなかったぼくには
どこかよそよそしい態度でいるのだ

四月はもう終わろうとしているのに
歓迎会に間にあわなかったぼくからすれば
まだ四月は始まってすらいないわけで
ぼくはまだ春の訪れを待っているというわけなのだ

一人
暗い部屋から
まるでサンショウウオのように
外の明かりをぢいっと見つめているのだ

外には四月の光が惜しげもなくあふれているのに
ぼくには外に出かけるだけの理由という権利がない
仕事にまだありつけず、いや、それだけの気力もなく
ただ薄暗く涼しい家の中から春の光をうかがっているのだ

ときおり四月は玄関からのそりのそりと侵入し
廊下をしずかにあるいて台所までやってくる
ぼくはあわてて煙草をもみ消し
目をあわさぬように急いで布団をしいて隠れるのだった

ぼくを狂わせるもの春
ぼくを待たせるもの春

何かを待つこと大嫌いなぼくに
春はその訪れを待たせるけれど
いつだってそれは裏切られてばかり
春がやってくるより先にいつもぼくの気がふれる

ぼくを狂わせるもの春

ああ四月
四月はもう、うしろ姿
そのかすかな足跡さえ追いかけられたら
その肩に手が届くかな
そして和解の意をこめて
その頬にくちづけできるかな





関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 ポエムブログ 散文詩へ
にほんブログ村

コメントの投稿

secret

top↑

comment

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top↑

自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

リンク

Welcome!

OfficeK

応援おねがいします

ブロとも一覧

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR