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more than human

人に
あの服は似あうとか
この酒は似あわんとか
いうように
春が似あわんとか
夏が似あうとか
いうかしら

ぼくには
春の衣装がない
春に似あう衣装をもたない

今日も
目ざまてみれば
なんと優しい穏やかな陽よ
しかめっつらも和やかに
日曜の朝の春風のプールを
泳ぐようにゴミ捨てにでかける
このままどこかへ出かけて行ってしまいたくなる
春はぼくをうわっつかせる

時間は
静かに流れているときが
一番こわい
静かと言うのは表面のことで
みなもの一枚下は激流なのだ
静かに感じながら
いつのまにかとんでもないところまで
ながされていることに気づくのだ


という響きは
明日
によく似ていて
希望
のようなにおいがして
とてもこわい
それが夏のあとにくるならまだしも
冬の厳しさを抜けた先に
突然、ばかげた調子でやってくるから
とてもこわい
三寒四温のリズムもこわい
はじめて黒人BARにはいっていったときのような
一人だけ皆のリズムの裏をたたいているような
そんないたたまれなさを感じる
初春のステップ、ぼくにはむつかしい

それでもこうして
木々が新しい葉をはぐくみ
樹液の音がどくどく聴こえてきそうな
この景色は
やっぱりどうだ
素晴らしいじゃないか
木蓮の、梅の花が落ち
さあ、桜が、待望の花をさかせる
この一季
素晴らしいじゃないか

ぼくの病気など
ぼくの懊悩など
どこか遠くの山の向こうの
自然豊かな村に引っ越して
土を耕したり
花をめでたり
虫を追ったりしていれば
すぐに消えてなくなるのだろうな
あるいはずっと
ずっと軽くなるのだろうな

夏はすきさ
秋もすきさ
冬もすきよ

さて、みなさん、春ですよ
土の中からでてきませう
みなさんは冬を越えました
寒く厳しい冬でした
穴からでて、見渡せば
ほら、豊穣の
あふれんあかりの色彩と
果実のなるのが見えるでせう
ばーどいずしんぎんぐ
べあいずうぇいくあっぷ

ほら
大きな月!!

新しい春
つきつけられる古い自分
新しい一年生
六年生のままではいられない
新しい一年生
こどものままではいられない
ぼくもうんと脱皮して
この春にはばたくつもり
そうなの
それはいいじゃない
がんばってはばたくがいいよ
うん
でもぼくみみずなの
とべるかな


ああ、春!
狂おしい季節!
そうこうしているうちに
逃げ道はなくなった
ぼくはこのあまりにも明るい
春の昼の光のなかへ
この重い一歩を
踏み出さなくてはいけない
明日に似た恐怖の季節に
似あわぬ衣装をぶらさげて

おどけているの?
いいえ、真剣です
ほんとに春がこわいのです
季節のせいにしてちゃダメです







「どうやらこの世界は、ときどき
くらしてゆくのがやりきれなくなるところなのね
そして、ある人にとっては
そこからはなれて
お休みをしなくちゃならないこともあるのよ」

シオドア・スタージョン 『人間以上』




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偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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