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春の不安

苦しみの午前を起きて耐えた
人がみな汗を流してはたらく時間に
家にいることがつらくて
いつも眠って過ごしていたが
今日はずっと眼を開いてた
ついでのように呼吸をし
なにするでもなく
ただ眼を開いていた

あたたかな和室には猫が寝ている
あんまり部屋が明るいので
カーテンを開ける腕が軽かった
いつも狂暴にみえた陽光も今日は
すこしだけおだやかに
やさしくみえた

妻を迎えに駅までいこう
二日ぶりに出る家の外
さらに何日かぶりの昼の外
すずしい風がつよく吹き
梅や木蓮の花びらを
いともたやすく散らかしていた
咲くのに半年がんばった
咲いたとみるや風が散らかす

アスファルトの上を無残にころがる
白い木蓮の花を眼でおいかけ
そこにいくらかでも
己を重ねたのではなかったか
足跡をつけ
黒く
腐ったように黒くくすんだ
木蓮の花びらに

この強風は春一番ですか
TVもみないし新聞も読まない
この二週間
妻以外と話しもしない
この強風は春一番ですか
それとももう吹きましたか
いまださなぎのなかのぼくに
答えてくれる人もいない

春のももいろの始発列車に
ぼくは乗り遅れているのですか
春の列車はもう出ましたか
みんな、風の中を暮らしている
ぼくはずっと家にいたから
春の列車はもう出ましたか
ぼくはいったいその列車に
乗りたいのか、厭なのか
自分でもよくわかりません

いったい何枚脱ぎ捨てたでしょう
このさなぎは重すぎる
好きで籠もったわけじゃない
さなぎのなかはドロドログルグル
何枚脱いでも飛びたてない
何枚脱いでも翼が出てこぬ
いったいぼくはこの春に
飛びたちたいのか、厭なのか
さなぎのなかはドロドログルグル

ぱちんと実が割れ
みずから種子のはじけるような
そんな春が来てほしい
わが子のふとんを剥ぐような
酷薄の春に唾を吐く
この強風にさからえず
ぼくの頬に唾がつく

試しに二週間
なにもせずに寝てみてください
膝が、腰が、あちこち痛いし
片頭痛は消えないし
体は重くふくれるし
頭も鈍くはれあがる
久しぶりの外をあるいて
ふらふらよれよれあるいてみて
道ゆくひとの足取りが
ねたましいほどたくましい

風に揺られてふらふら漂う
黒くしめった木蓮の花に
己を重ねてみてたのです
明日への不安と恐怖と猜疑が
ぼくを台所においつめて
たばこの煙をいいわけに
己の人生にやつあたり
ああ
真白の花が散りゆきます
それは昔の懺悔のように
ゆらりゆらりと散りゆきます
やめてください、いぢわるの風
春の死人の夢遊病

夜の柵にかこまれました
これから薬で眠りにつくまで
ぼくは不安とつきっきり

明日など





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secret

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おつかれさまです。
偕誠さん、よくがんばりました。
ゆっくりお休みなさってください。
また元気になったら、など考えなくていい。
ネコちゃんとたわむれてください。

misaさん

コメントありがとう!


> おつかれさまです。
> 偕誠さん、よくがんばりました。
> ゆっくりお休みなさってください。
> また元気になったら、など考えなくていい。
> ネコちゃんとたわむれてください。

ありがとう。
昨日、今日と、すこしずつ元気になってきました。
もう一息で復帰できそうなので
のんびり猫と休みつつ爪を研ぎます。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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