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断片、罪びとの伏す

シューベルトっていかれてるよね
ああ、AveMariaのことだね
そうそう
クレイジーだよね


あの夏。



鳥は狂うだろうか
山は狂うだろうか
月は狂うだろうか
恋人は狂うだろうか


ナイフのような風を知っているか
嗚咽のような雨を知っているか
その目は、その肩は
狂うほどの叫びを知っているか


ぼくのかかとがぱっくりと裂けました
裂けました
そこから黒い水があふれてながれ
ヤマナシ県コウフの
土手の水たまりの
つぶつぶのあつまりの
そのきめこまやかなあつまりの
あいだをぬうように
ぬうように
しみわたっていったのです

雷はぼくのかわりに叫び
雨はぼくのかわりに地をたたき続け
風はどこか知らぬ顔で
ぼくの顔面をなぐり、またなぐり
それでもたりず、なお、ぼくは
叫び、叫び、叫びつづけました
雷のように
ヤマナシ県コウフの
真っ黒い夜に

だれか
答えをくれ

この人生は、いったいなんなんだ
答えをくれ
ああ、AveMariaを聴かせてくれ
雷よ、雨よ
ぼくをここで殴り殺せ


靴はどこで脱げたかわかりません
きっとぼくを殴ったあいつらが
その辺のくさむらに蹴り飛ばしたのでしょう
なにも見えぬ右目をさわると
まるでちいさな赤ん坊のような
血だまりがぷくりとありました
冷たいような
熱いような
血がどくりどくりと
あちらこちらから流れています

誰に
何のために殴られたのか
いまはもう思い出せないけれど
かかとから流れる黒い血と
あの夜の嵐
あれは思い出すというのではなく
いつでも再び体験できる
ぼくだけのタイムマシン


AveMariaが聴こえていました

暴力の波に沈んだぼくは
土手の斜面にうちすてられました
いつ、嵐がきたのかはわかりません
気がつけば歩いていたのです

どこへ

家には帰れません
母はぼくの行いのために身を崩したのだし
父はぼくをみれば殴りとばすでしょう
それをみて、ちいさな妹は泣くでしょう

友人の家には行けません
そもそも、友人はもういません
友情を、ぼくはその日、捨てたのですから
いえ、ぼくが捨てられたのでしょう

では


いや


あはは
あはははは


これは、まいった
どくり、どくり、血が流れる
これが、孤独というものか
どくり、どくり、心が溶ける

ああすべてなくなれ
この雨も
すべて壊れろ
この心も


雨の煙幕のむこうに
光は見えない

ぼくは深海魚のような心地よさで
ヤマナシ県コウフの
雨にたたきつけられるこの土手で
膝をおり
背中からたおれ
まっすぐこの眼を射る雨をにらみ
ただ
ただ
泣きました


わーーーーーーーーーん


うわーーーーーーーーーーーーーんんんん




あの夏。

祈っても、祈っても
マリアは逝ってしまった
体にのこるドラッグのかけらか
マリアの幻は逝ってしまった

痛みはなく
寒さもなく
恐れもなく
かまわないと思ったのです
このまま死んでも

それでも
やはり
あんまり悲しすぎるので
泣いたのです
力の限りに泣いたのです


あの嵐。

ぼくは嵐の夜に生まれたと
母が言っていたのを思い出しました
ならば死ぬときもやはり嵐だろうと
幼いうちに空想したのを思い出しながら
それでも
暴力と幻覚と汚辱の日々に
埋もれるように死んでいくのは
ぼくにはあんまり悲しく思えたのでした


あの夜。


シューベルトの
AveMariaが
雨音にまじって
ずっと
ずっと
聴こえていたのです






Ave Maria! Jungfrau mild,
erhöre einer Jungfrau Flehen,
aus diesem Felsen starr und wild
soll mein Gebet zu dir hinwehen.
Wir schlafen sicher bis zum Morgen,
ob Menschen noch so grausam sind.
O Jungfrau, sieh der Jungfrau Sorgen,
o Mutter, hör ein bittend Kind!
Ave Maria



ああ、マリア

全部、なかったことにしてください。










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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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