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魂を慰めてくれ

友川かずき
「無残の美」

鉄道自殺した、詩人・及位覚は
友川さんの実の弟です。
詩人といっても、詩で食べていた人ではなく
むしろ詩によって、さらに奥深くまで
死に誘い込まれたのだと思います。
覚さんが自殺したのは、阪和線富木駅南一番踏切。
肉親の誰もが目をそむけ「見ないほうがいい」という制止を拒み
ばらばらになった弟を直視し、受け止めた友川さんは
やっぱり本当にやさしい人だ。

ぼくはこの1週間、仕事を休んでいる。
月曜の昼、降り出した雨で現場は終わり
ぼくは大きな無念と、ひとりではどうにもできない怒りを
はらわたに抱えて帰宅した。
そこから、いままで
まるで夢の中にいるようにおぼろげな自分と
つぎつぎ沸いてくる不安と、恐怖と、
自殺への衝動と
闘っていた。

ずっと続けていた筋トレもダイエットも勉強も
ひとつ、「うつ」がやってきただけで
スタートライン近くまでひきもどされる。
まるでそこが自分の定位置であり、
そこから一歩も動いてはいけないのだ、と
言わんばかりに。
ぼくの努力をあざ笑うかのように。
でも、何もかもが手につかず
終日布団の中にいるしかない。
そのことがまたぼくを悲しくさせ
「うつ」に拍車をかけるのだ。

ぼくはいま
世界のすべてを呪っている。
世界というのは、ぼくの頭の中のことで
この狂った頭の中の脳髄に
ぼくは怒り、あきれ、泣き、すがっている。

勘弁してくれ。
もうほっといてくれ。

なにもかもがいやになるのは病気のせいだ。
わかってる。
世界から色を奪っているのは病気なんだ。
わかってる。
誰もが憎く思えるのは病気のせいだ。
わかってる。
でも、「その世界」を見た後に
見なかったときのようにふるまえっていうのが
難しいのだ。
歯噛みして、心の出血に耐え、身震いして
明日をにらむしかないのだ。
いまのぼくには、なにも見えないのだ。
それでも、明日のほうを向いて
頭を抱えながら、笑顔の練習に挑むしかないのだ。

じゃなけりゃ
死ぬしかない。
でも、ぼくは自殺をしないと決めた。
だから、生きるしかない。
死ぬつもりで、必死に、生きるしかない。

懸命に生きてるぼくを笑え。
おかしな脳みそを笑え。
人が笑って過ぎる平坦なところで
いとも簡単につまずき、転び
わめきながら血を流しているぼくを笑え。



体を休ませるのか
心を休ませるのか
それとも魂をやすませるのかよ
慰めてほしいのはどれなんだよ
魂なんだって?
誰がそんなことできるのだよ

友川かずき以外に





「無残の美」





詩を書いたくらいでは間に合わない
淋しさがときとして人間にはある
そこを抜け出ようと思えば思うほど
より深きものに抱きすくめられるのもまた然りだ

あらゆる色合いのもののあわれが
それぞれの運を持ちて立ち現れては
命脈を焦がして尽きるものであるとき
いかなる肉親とて数多の他人の一人だ

その死は実に無残ではあったが
わたしはそれを綺麗だと思った
ああ覚
いま木蓮の花が空に突き刺さり
かなしい肉のように咲いてるど

阪和線富木駅南一番踏切
枕木に血のりに染まった頭髪がゆれる
迎えに来た者だけが 壊れた生の前にうずくまる
父 母 弟 兄であることなく

最後まで自分を放さなかったものの
孤独に割り引かれた肉体の漂泊よ
水の生まれ出づる青い山中で
待つのみでいい どこへも行くな
こちら側へももう来るな

その死は実に無残ではあったが
わたしは綺麗だと思った
ああ覚
そうか 死をかけてまでやる人生だったのだ
よくぞ走った 走ったぞ
無残の美






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NoTitle

偕誠さん、あなたは言いようのない不安や恐怖と闘っているんですね。
ずっと続けてきたことをむしばまれて、でも自分ではどうしようもない。
死への衝動も、あなたを追い立てている。
病気のせいだとわかっていても、恨まずにはいられない。

あなたは、本当に頑張っている。
偕誠さんは、本当に頑張っている。

misaさん

コメントありがとう!


> 偕誠さん、あなたは言いようのない不安や恐怖と闘っているんですね。
> ずっと続けてきたことをむしばまれて、でも自分ではどうしようもない。
> 死への衝動も、あなたを追い立てている。
> 病気のせいだとわかっていても、恨まずにはいられない。
> あなたは、本当に頑張っている。
> 偕誠さんは、本当に頑張っている。

ありがとう。
頑張るだけではいけないという大人がいます。
みんな大なり小なり悩みがあって
大変なのは君だけじゃないという大人がいます。
ぼくは誰の悩みも否定しないのに
ぼくの病気やその症状を否定されます。
ならば、あなたが代わってくれればいい、と
のどまで出かけて、いつも呑みこんでいます。

がんばってる、と言ってくれてありがとう。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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