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宗教の話をしよう。

宗教の話は、タブーである。

職場でも、学校でも、おそらくブログでも。

日本人は独特の宗教観を持っていると思う。

イザヤベンダサンがいうところの「日本教」だ。

乳児は神社で祝い、新郎新婦はチャーチで祝い

死ねば念仏でおくられる。

天国と極楽を同時に受け入れながら

神道を含むすべての宗教に寛容なふりをしつつ

じつはそのどれも尊敬していない。


ぼくは小学校のころ、ヨハネの黙示録にはまった。

「何か」を感じた文章をぬきとり、ノートにまとめていた。

なにかのおりに、担任の先生にそのノートを見られた。

先生はぼくの文才を高く評価した。

ぼくは落胆した。

教育者が、黙示録を知らない事に落胆したんだ。


ぼくは14から「非行生徒」になり「虞犯少年」になった。

暴力とドラッグとセックスと酒に溺れた。

荒んでいく日々。退廃的な思考。

友を傷つけ、信頼を蹂躙し、破壊を否、破滅を求めた。

暴走族にはいり、暴力団とも接触した。

どうでもよかった、人生のすべてが。

リアルはそこになかった。

ぼくの先輩がぼくの後輩を殺したときも

大雨のなか、アンパンマンのように腫れ上がった顔をぶらさげ

裸足で家に帰っているときも

ぼくは神仏を呪い、人間を呪い、

それとまったく同時に、救いを求めていた。

あちこちに悪魔がいた。

暴力という、ドラッグという、悪魔がいた。

おれを殺せ、と何度もどなった。

勝手に産みやがって、と両親をせめた。

一日、生きれば生きただけ、常に何かを失い続けた。

その腐った日々のなかに、マリアを求めた。

慈愛を、加護を、導きを、求めた。

彼女はどこまでも、ぼくを愛した。

その彼女をも、悪魔は奪い去っていった。


東京の実家に逃げ込んだのは16のときだった。

毎晩、禁断症状と妄想と闘った。

いつしかぼくは、救いではなく、赦しを求めるようになった。

カトリックの教会を訪れて、懺悔し、

これからは行いを正すと誓った。

だれもいない、物音ひとつない礼拝堂で

ぼくは何度も何度も神に祈り、涙を流した。

それまでのぼくの、すべての罪を

消したかった。


神父について、聖書を学んだ。

ぼくは修道院に行くと決めた。

神父からのお墨付きをもらった。

洗礼の式の数日前、ぼくは明け方の街へ飛び出した。

なんの変哲もない、ギアもない自転車にのって。

確か、ランボーの詩集と、社会科の教科書だけを持っていった。

まっすぐ北を目指し、日本海を見よう。

そしたらそこから東にいけば、父の住んでいる金沢につく、と。

夕方に春日部までついた。

カトリックの教会を見つけだし、こう言った。

ぼくはいま、父の家をめざして自転車で旅行中です。

お金も持っていません。金沢までは教会つまり「父の家」をあてにして

進んでいく予定です。と。

神父さんは飲み物とりんごをくれた。

口渇と飢えは癒された。

寝泊りをお願いしたら、その場にいあわせた中年女性に拒否された。

ぼくは回れ右をして、家路につき

翌日、洗礼をキャンセルするむね、電話で伝えた。

神父もほかのみんなも考え直すようにすすめたけれど

ぼくはもう、信仰を棄てた、とだけ伝えた。

教義が素晴らしくとも、教会とそこに巣食うものたちの

信仰は、ぼくの信仰とはまったくちがった。

ぼくは、完璧を求め、人にもそれを求めた。


聖書はまだてもとにある。おりにふれて読む。

クリスチャンにも、ムスリムにも、禅宗にも、神主にも

ぼくはもう、なんの感情ももっていない。


ただ、思うのだ。

神がいるならば、ぼくの生まれた意味を知っているだろうか。

それを教えてはくれないのか。


神はなぜ、苦難を強いるのか。

何度問いかけても返事はない。

ぼくはジャンヌダルクではない。



ぼくはもう、宗教を必要としていない。

晩年、芥川の枕頭には聖書があったらしい。

自殺する人間がなぜ聖書を読んだのか。

ダンテでも読めばよかったのじゃないか。

地獄篇でも読めばよかったのだ。




人の罪は、神によって赦されるのではない。

自らによって、そして友によって、赦されるのだ。



友よ、ぼくの一切の過去を赦し給え。

友よ、あわれなこのぼくを赦し、祝福し給え。

これを読む友と、これを読まぬ友へ。





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secret

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comment

NoTitle

私の人生の師のひとり
社交のDJも若い頃は暴走族でした。

でも今は皆を照らす太陽で
自分の失敗や欠点を笑い話にして
皆を幸せにしてます。

過去は今を作る材料でしかない。
大事なのはこれからどう生きるか。
じゃないでしょうか。

もし過去にそういった経験がなかったら
無闇やたらと正義の大剣を振り回して
誰かを傷つけていたかもしれない。

友を過去に傷つけた事を後悔しているなら
今度はどこまでも大事にしたらいいじゃないですか。
また失敗してしまったとしても
大事にできるようになるまで何度でも。

腹を割って話して
もし喧嘩しても
そこからまた繋ぎ合わせていくから
つながりは強くなる。

受け入れてくれる人ばかりじゃないかもしれないけど、
受け入れてくれる人もいるのだから、
そういったつながりを大事にすればいいじゃないですか^^


Neroさん

こんばんはー。
コメントありがとう。


> 過去は今を作る材料でしかない。
> 大事なのはこれからどう生きるか。
> じゃないでしょうか。

そうですね。
ただ過去を思うとき、荒れることがまだあります。
どうもね、最近また頭がすさんできたんです。
だから、吐き出してみました。
いつもありがとう。

NoTitle

若いとき、いろんなことをしたのですね
傷ついた人もいたかもしれません
ただ、
無駄なことはない、そう信じてください
悪いことをしたから
その悪さ、痛みを知ることができたのでしょう

宗教のことは分からないけど
何か意味があったと思ってください
今、悩んでいることも
この先、役に立つ日がくるかもしれません。

ころなさん

こんにちはー。
コメントありがとう。

> 無駄なことはない、そう信じてください
> 悪いことをしたから
> その悪さ、痛みを知ることができたのでしょう

そうでしょうね。
若いうちに経験できてよかったです。

> 宗教のことは分からないけど
> 何か意味があったと思ってください
> 今、悩んでいることも
> この先、役に立つ日がくるかもしれません。

そう思いたいです。
最近よくそのころのことを思い出すのです。
理由は…あるのかな。わからないけど。

神様の話、していいの!?しちゃうよ!?

いるかいないかは別にして、
私は洪水をおこすような神様は好きじゃないですね。
あと誰だっけかの息子を生贄にしろって言って信仰の深さを確かめるところも、心の狭いやつだなあと思いました。
割礼しろとかヤギ燃やせとか意味不明だし。

でもイエスは好き。(ライ麦的な意味で)
ホールデンが好きな私は、もちろん、あなたを赦します
14歳のあなたを。16歳のあなたを。30歳のあなたを。
あなたの全ての存在を、受け入れます(エロい意味ではなくアガペーな方で)

しかし、小学生で黙示録って、おませさんめっ✩
エヴァ見てるとき楽しかったでしょ。
黙示録、私は大学生になってからでしたね。
厨二病な感じにはまった。

親愛なる偕誠 さん、
自殺したくないなら、自分の頭の中の観念の沼に溺れてはダメですよ。
そこで見つかった気がするのはぜんぶ幻です。
気がついたらこぼれ落ちている。

現実だって色即是空で洞窟の影絵かもしれません。
けど、私たちは肉体という現実に閉じ込められているのです。
それ以上のことは、それ以上の存在になってから考えたらいいんです。
(そんな状態があるのかどうかわからないけど)

よけいなお世話かもしれないけど、最近のブログを読んでてちょっと心配になってしまいました。
観念が無意味とは思いません。でも形あるものとのバランスも大事です。
虚無から逃げきれてない私が言うのも説得力ないですが・・・

ピピネラ分隊長

おひさしぶりです!
コメントありがとう。

> 心の狭いやつだなあと思いました。

あはは。アブラハムとイサクですね。
イサクは自分を焼くための薪を背負って父と山に登るのです。
その山はモリヤといって、今も聖地であるはずです。
ぼくも割礼には生理的な嫌悪を感じます。
(衛生上のなんたら…は別にして)

ただ、和辻哲郎の「風土」を読むとよくわかるのですが
豊饒の地、四季の恵みある地、日本にいては
わかりえない宗教の特質があると思います。
あの厳しい自然条件のなかでうまれた宗教なんですからね。

ぼくはイエスよりもその「父」よりも、聖母マリアにぞっこんでした。
あのころのぼくにとって、女性とは聖地のような存在でした。

> ホールデンが好きな私は、もちろん、あなたを赦します

ありがとう。
「自分は、広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、
気付かずに崖から落ちそうになったときに、捕まえてあげられるような、そんな人間になりたい」
…ぼくもそう思います。が…。どこまでいけるのか。

> 14歳のあなたを。16歳のあなたを。30歳のあなたを。
> あなたの全ての存在を、受け入れます(エロい意味ではなくアガペーな方で)

ありがとう。
Neroさんにも拍手コメで同じように言ってもらえた。
とても嬉しいです。


> しかし、小学生で黙示録って、おませさんめっ✩
> エヴァ見てるとき楽しかったでしょ。

ロンギヌスの槍も、リリスもリリンも
ぼくにはネタバレでしたからねw
同級生にひけらかして鼻を鳴らしてましたよ。



> 親愛なる偕誠 さん、
> 自殺したくないなら、自分の頭の中の観念の沼に溺れてはダメですよ。
> そこで見つかった気がするのはぜんぶ幻です。
> 気がついたらこぼれ落ちている。
> 現実だって色即是空で洞窟の影絵かもしれません。
> けど、私たちは肉体という現実に閉じ込められているのです
> それ以上のことは、それ以上の存在になってから考えたらいいんです。
> (そんな状態があるのかどうかわからないけど)
> よけいなお世話かもしれないけど、最近のブログを読んでてちょっと心配になってしまいました。
> 観念が無意味とは思いません。でも形あるものとのバランスも大事です。
> 虚無から逃げきれてない私が言うのも説得力ないですが・・・

ありがとう。大丈夫。
死への誘惑はいまだねばっこく残っているけど
観念の沼に溺れることは、たぶん、ないと思います。
いや、いま現に溺れているわけですが、
そのまま沈んでいくことはないと思うのです。なんとなく。
なぜでしょう。なんとなく、そう思うのです。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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