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ひとまず祝杯を。

薬は確かに効果があった。

なんとか、バイトには行けた。

もちろん、社会人としては、当たり前なのですが…。

その当たり前ができなくなるから、障害なのです。


前半、とにかく仕事に没頭した。

考える事をすこしでも止めたかった。

休憩時間、携帯をみると、

姉からよい知らせが。


面会に行ったら、父がベッドで座る事ができていた。

会話もできた、というのだ。

きのう、一昨日、主治医から

「今夜お亡くなりになってもおかしくない」といわれていたのに。

ものすごい、生命力だ。

父の生への執着は、凄まじい。

ぼくはあらゆる人から、父に似ているといわれるが

ここまではやれない、と思う。

自分なら、諦めていると思う。

定年退職したし、子供はみんな巣立っているし

片脚はないし、透析はつらいし

食べたいもの食べれないし、酒も飲めない。

でも、いきようとしたから、帰ってきたんだ。

その執着が、おそろしいくらい、すごい。

強い男だ、と思った。



バイトで動けないぼくにかわって、妻が病院に行ってくれた。

きのう、もごもごと、ぼくに言えなかった言葉を聞きにいく、と言って。

父に伝える事はないか?と問われ、それじゃあ

大好きだ、と伝えてくれ。とお願いした。

自分の口からは、百年たっても言えない。



安堵した。

軽妙なため息がでて、胸のなかの黒いものが吐き出された。



死が、先延ばしにされただけだが、

これでもう一度話せる。

だって、一昨日、心臓が止まったと聞いて

まってくれ!!って思ったのだ。

話したい事は、まだ山ほどあるのだ。

うまれてはじめての、手紙でもかこうか?

うまくかける気がしない。まったくしない。

ぼくのガラじゃあない。

それでもやってみようか。


ただ、愛している、としかいえまい。

でもそうは言えないから、

無駄な言葉をたくさん連ねるのだろう。

わけのわからない手紙になるのだろう。

それでもやってみようか。


こういうとき、ミュージシャンを羨ましく思う。

こういうとき、言葉が邪魔だ。


まあ、やってみる。



家に帰ると、妻はいない。

腹を空かせた猫にごはん。

ぼくはひとり、祝杯をあげる。


妻は妻で、葛西に残り、

ぼくの母とガールズトークディナーで盛り上がってるとのこと。

どうぞ、ごゆっくり。

ひとりでしずかに考えるのに、よい時間だ。





ああ、音楽と煙草、

それから、
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secret

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NoTitle

乾杯!
私も一緒に泣いてしまいました

お父さん、本当に良かったですね。
それと、言いたいこと、全部つたえよう、という気持ち
素敵だと思います。

本当にミュージシャンが羨ましい、それは常々私も思います。
愛を伝えたい、でもどうやったらいいか分からない。

愛という単語を綴ると、「愛ってなに?」と質問される事はあっても
それを本当は言葉で理屈で説明するものでもないし、心に直接届けるって難しいですね。

愛は相手に何もしなくても愛だけれども、行動や表現しないと伝わらない時もあるので
言葉や理屈は確かに邪魔だし野暮だけど、血だけでなく心も繋がった親子ならきっと
「言葉という封筒の中にある愛という手紙」に気付いてくれると思います。

家族愛って素晴らしいですね。
ハラハラもしたけど、ほっこりしました。

私も、“ノラ“たちを集っていつか
血は繋がって無くても温かい家族を作りたいなんて思ったりもする^^

Re

Neroさん、こんばんは!


> 私も一緒に泣いてしまいました

おぉ、やさしいですねぇ…。

> 家族愛って素晴らしいですね。
> ハラハラもしたけど、ほっこりしました。

ぼくは、幼少から家族というものにアレルギーがあって、
ろくに話した記憶もなかったのです。
親不孝ばかりでしたね。
20代中盤から、やっと、
ああ、家族っていいなあ、と思うようになりました。
だから、まだ孝行できなくて、悔しいんですよねぇ。

> 私も、“ノラ“たちを集っていつか
> 血は繋がって無くても温かい家族を作りたいなんて思ったりもする^^

むむ?
もしかしたら、すこし近似した夢をもっているのかもしれませんね。
それは、大きな大きな家族ですか?

NoTitle

それは、大きな大きな家族ですか?

うーん、大きくなるかどうかは分からないですな^^

ただ、私と同じように血が繋がってなくても家族になりたいとか

寂しい家で育ったから居場所が欲しいとか

心の居場所を求めるのならば、という感じです^^

でも、私にとっては出会って何度か私情を話した事のある人全てが

家族みたいなものだし心に国境みたいなものは無いから

ある意味、考え方によっては、大きいのかもしれませんね。


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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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