1012345678910111213141516171819202122232425262728293012

日光と寒風

二週間近く寝込んで弱った体にムチ打って

ジョギングにでかけた。

BGMは紅蓮の弓矢。

5分ごとに30秒ほどあるくインターバルをとりつつ

目標は1時間。

30分で力つきた。このまま帰るわけにはいかないので

仕方なし、残りの30分、ウォーキングとやらをしてみよう。

BGMは交響曲第九に変わってる。

大好きなベートーヴェンを聞きながら、あるく。

何も考えずにあるく。

思考はとまってるはずなのに、言葉があふれだしてきた。

ドウダンツツジの、マッチ棒のような小さな芽にも気がつく。

空の青さ、太陽の照射にも

なんら悲劇的なにおいはなく、ただ「感じる」ことに夢中になった。

木々はひそかに若芽をのぞかせて、さくらのちいさなつぼみからは

春への期待が、そこはかとなく察せられた。

荒かった呼吸も整って、歩調もきまった。

あるきながら、氾濫し轟々とながれる言葉を見送った。

きっとこれは、こころの新陳代謝だろう。

いちいち書き留めることもしない。他愛のない言葉たち。

ただ君たちの流れて行くさまをぼくは見届けた。

どこからきて、どこへいくのか、君たちは。

ただ君たちが、薄暗い書斎からうまれたのではなく

日光と寒風と発汗のなかからうまれたことを、ぼくは喜ぶ。

どこへなりといけ、君たちは自由だ。

カゴのなかの、むなしい安穏を棄てて、羽ばたきさる君たちが愛しい!

もうぼくには、君たちの残像すら描けない。

居間に座り、ものにむかって、ぼくは「書いている」からだ。

耳に残る、君たちの羽ばたきの音が、ただ愛しい!

ただかなしい!


死ぬまぎわに、思い出したい光景にであった。

なんのことはないんだ。

午前の太陽がびかびか輝いて、冬枯れた日本芝の薄黄色を照らし

オオムラサキの植え込みのなかに一通の手紙がうち捨てられ

空が凶暴なほど、清冽に青かったんだ!

ただそれだけの、どこにでもある景色だ。

それが、たとえようもなく、美しかったんだ。

鬱がくれた贈物か。

さては躁への警鐘か。

どうだっていい。

ただ美しいものを見たから、それをそのまま書くのだ。



ああ、そして、空を見つめながら歩く者の

なんとあゆみの遅いこと!


人に遅れたっていいじゃないか。

ぼくは空を見ながら、ゆっくりあるいて生きていきたい。


ああ、もしも、それで妻が涙を流さずにいられるならば

これほど幸福な歩度はない!

もしも妻が、涙を流さずにいられるならば。






関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 ポエムブログ 散文詩へ
にほんブログ村

コメントの投稿

secret

top↑

comment

NoTitle

あなたの
「人に遅れたっていいじゃないか。
ぼくは空を見ながら、ゆっくりあるいて生きていきたい。」
とのことば、胸に響きました。
わたしも自分に言い聞かせなきゃいけないことば。

そして、あなたの奥さんへのことば、
胸に刺さります。
じーんと、きます。

Re

misaさん、こんばんはー。
コメントありがとう。

ぼくはいわゆるおちこぼれなわけですが
おちこぼれたから見えるいまの景色も
そう悪くないなあ、って思いました。
競争の人生は疲れました。
思うままに散策する人生を歩もうと思います。
ふらふらと。

飛び去った言葉

「日光と寒風と発汗のなかからうまれた」言葉たち。
私は拾い集めてあじわってみたい。

半覚斎 拝

Re

半覚斎さん、おはようございます。
コメントありがとう。

粗野で野放図でわがままで大胆な言葉たちでした。
人さまにはお見せできません…。
もう残像ものこっていません。代謝が済んだようです。

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top↑

自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

リンク

Welcome!

OfficeK

応援おねがいします

ブロとも一覧

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR