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書くということ

幼い頃、父に、小説家になるにはどうすればいいか?

と問うたことがあった。

父は、なにを書きたいかと問い返した。

三種類あるといわれた。

現代をえがくか、

過去の史料をもとに歴史をえがくか、

想像力をつかって未来をえがくか、

どれを描きたいのか、と。

ぼくの答えは、その三つの

どこにも、あてはまらなかった。

ぼくは、ひとが涙を止められない夜に

震える手でそっと開くような本が書きたかった。

まっくらな世界を、じわりと照らす灯明のような

心を励まし、涙をとめ、笑ってもらえるような本だ。

それを父に伝えられなかったから、ただ

「わからない」と返し、その話はそこで終わった。


その時のぼくは少なくとも

現代か過去を書くだろうと思っていた。

未来だけは、ないだろうと思っていた。

SFは好きじゃなかった。


でも、今日、ふとおもいだしてクスっと笑った。

ぼくが描きたいのは、ある意味で「未来」

であったのかもしれない、と。

読んでくれるひとのこころに灯明を

点けることができたなら、そのひとの

明日が描ける。

読者のない作家は作家ではない。

逆に芥川賞はとれなくても、

たった一人でも読んでくれるひとがいれば、

そして彼にその意思があれば、作家である。

詩や、文というものは、読まれて完成するものだとぼくは思う。

読者の多寡は、この際なんの関係もない。


書くほうと、読むほうの、

魂の共鳴、あるいは衝突、あるいは融合。

書かなければ、見えてこないものがぼくにはある。

それを見たいと思う。

だから、書くのだろう。


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NoTitle

私は文才がないので
作家になろうとは思わないけど、
書く、伝える、って大事な事だと思ってます。

書かなければ見えてこないもの、
人の心に灯火を与えるもの、
共感します。

私の場合は、
読者も多くなく常に閑古鳥が肩にとまっているけど、
本当に伝えたい事を書かなければ意味が無いという事で、

内面と向き合って感じた事や
人生経験から学んだ事を
勇気を持って忍耐強く書いています。

それは都会の明るい夜空を見ている人たちには
全く下らないものかもしれないけど、
きっと寂れた光の差さない田舎の夜空を
眺めている人には役に立てると思うから。

魂の共鳴、衝突、融合、
手応えがあるうちは駄文しか書けなくても
こつこつ書き続けるだろうと思います。




Re

Neroさん、こんにちはー。

> 私は文才がないので

そんなことないですよ。
あんなにしっかりした文章、なかなかかけませんよ。

> 内面と向き合って感じた事や
> 人生経験から学んだ事を
> 勇気を持って忍耐強く書いています。

そうですね。そしてそれを拝読するのが、
ぼくの毎日の楽しみです。

なにがあっても「書き続ける」ことが
大事だなあ、ってこのごろよく思います。
自分では赤面してしまうほどの駄文にしかみえなくても
いつかの誰かに、何かのかたちで届くのじゃないか、って。
(明日以降の自分も含めて)
あわーい、期待をもって。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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