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わるもんの美学

ぼくのすきなわるもん。

たとえば、

キリスト教における、ユダヤ人。

政府軍に対する、革命軍。

仙水忍やクロロ=ルシルフル。

モンスターのヨハンや、20世紀少年のともだち。

いわゆる「わるもん」には、美しさがある、と思う。

悪といわれる側、主人公によって最終的にはけちょんけちょんに

やられてしまう側の、悪玉達に、激しい思いを持っていた。

幼い頃、三国志にはまったが、

いわゆる主人公の善玉・劉備ではなく、悪玉のドン・曹操に傾倒した。

董卓や呂布のほうが、おもしろかった。

少年ジャンプが、当時の小学生の間ではバイブルだったが、

ぼくは悟空よりベジータ、幽助より仙水が好きだった。


人の心には、善悪がふたつながら備わっているという予感があった。

決して悪玉は悪だけではなく、

善玉は善だけであるはずもない、という予感があった。

勧善懲悪の物語は、こわく思っていた。

鬼ヶ島の鬼たちの言い分は、完全に黙殺されているのが不可解だった。



それはすぐに体験として証明された。

小学低学年のとき、

クラスでもトップクラスに入る成績の男が、

(仮にKとしよう)

教員には従順で、いわゆるイイコとして何の問題もない

「優秀な」Kが、教員の見ていない所で

脳に障害をもつYちゃんを、バカにしたおしていた。

ばかな仲間を集めてYちゃんを取り囲み、下衆な言葉を吐きかけ、

女子がとめようものなら、さらに調子づき、こづきまわす。

たまらず、Yちゃん、手を出しちゃった。

そいつはしりもちついて、勢い机やらいすやら倒れて

大騒ぎ。

ざまーみろ、とぼくは舌をだしていたが、

その日、教員に注意されたのはYちゃんの方だった。



Yちゃんは、赤ん坊のころ一度心臓が止まった。

お母さんは必死で祈った。医師も頑張って手を尽くした。

Yちゃんは、息をとりもどし、大きく泣いた。

お母さんも泣いた。医師は万歳した。

それだけで、Yちゃんは、すばらしい。

だけど、脳に障害が残って、

会話がなかなかできない。

話すことは支離滅裂で、授業中も勝手に離席するし、

キテレツ大百科のコロスケが大好きなのはいいが、

お母さんに書いてもらったコロスケの絵がなくなると

不意にコロスケーってわめくから、そのたび授業もとまるし、

教員は実際、手を焼いていた。

でも、特別学級ではなく、ぼくらとおなじクラスで一緒に授業を受けていたのは、

お母さんからYちゃんに贈られた、最初の試練ではなかったか。


とにかく、Yちゃんは叱られ、Kは叱られなかった。

その日を境にYちゃんは、クラスでいじめられるようになった。

それまでは、「なんとなく邪魔な存在」程度だったが

それが明らかにかわった。

ぼくは頭にきて、下校のとき下駄箱の前で、

その優秀な生徒Kをなんどもなんどもぶっ飛ばした。

当然、教員にばれてこっぴどく叱られた。

親にも叱られた。

親にはYちゃんのことを話したが、教員には言わなかった。

Yちゃんは、それ以降、ずっとぼくの側にいて

(コロスケの絵をぼくに書かせ続けたので、

いまでもコロスケだけは目を閉じても描ける。)

ぼくも、クラスから浮いた。

ぼくは、ケンカも強かったし、勉強もできたから、

いじめられなかったが、

わけもなくKをぶっ飛ばしたということで、

教員たちから変な目でみられるようになった。

そして、その優秀なKは一連のことで何も注意されることもなく、

むしろ被害者づらで(これはぼくのせいだが)

あいかわらず、クラスの中心にいた。


Kこそが叱られるべきだ、と思い

教員に一連のことを話した。

そこで失望した。

わるものは、ぼくだったのだ。


Yちゃんが授業の邪魔をするから、優秀なKはそれを注意した。

注意されたYが逆上して暴力をふるった。

だからYを叱った。それで解決したのに、

お前がわけもなくKをぶっ飛ばした。

その上、しばらく大人しくしていたYを

甘やかして、また落ち着きのない子にしてしまった。

お前は一体、なにがしたいんだ?

あまり教師を困らせるな。


ぼくは、親の教えを守っただけだ。

義を見てせざるは勇なきなり、だ。

最初に、暴力をふるったのは、Kだ。

ぼくは親から、言葉の暴力というものを教わったのだ。

Yちゃんは、言葉で返せないけれど、おかしいと思ったから

やつを突き飛ばしたのだ。

でも、やつは言葉の暴力をやめなかったし、

まわりのバカたちは調子にのっていじめに加わろうとした。

目には目をだ。

何が悪いのだ。

第一、困らされるのがいやなら、教員になんかなるな。


反論は、教員のため息に呑み込まれた。

バカらしくなって、切り上げた。



鬼ヶ島の鬼たちにも、

きっとなにかの言い分がある。

むやみに征伐していいものか。


Yちゃんは、決してわるくなかった。

でも、ぼくも、正しくなかった。

それなら、わるもんでいい。

萌え出したばかりの、自分の美学に気づいた。

それでは、わるもんでいい。



ぼくには、ぼくの規則があって、

それを破ってはいけない、とぼくが決めたのだ。

だから、そのためにわるもんになることは、避けられない。


そんな必死の決意が、世のわるもんの心のどこかにも

あるような気がするのだ。









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No title


こんにちは

人間って善悪合わせた生き物なのに

なんか悪い部分だけが隠されてるね

タイムリーに西原理恵子さんの生い立ちを

お金に絡めた本読んでました

彼女が高校を退学させられた経緯とだぶるね

裁判で教師が保身(金)の為に嘘をつくってね

綺麗事言いながら教師も商売で生活かかってんだね

Shin36aさん、こんにちわー

ぼくの場合、教員は嘘ついてなかったんですけどねー

あれが正しいんだと思います、世の中では

ただ、自分の中の法律みたいなものがあるよなーと思って

その通り生きてきて、たいてい悪役になってきたなーと

善悪っておかしな概念だと思いませんか?

No title

正義のあり方は人其々だから、
集団の正義(個人を弾圧)に反発すれば
其の集団からは悪になるだろう。
けれど個人の権利や自由を守るという意味では正義。

見る人が見れば分かる。
「正義というものの曖昧さ」について。

団体で一人をいたぶるのは弱いから。
気に入らなければタイマンで先ず
人間らしく知性と言葉で議論を交わす度胸も無い
コソコソした連中の事など放っておいて自分の信じる道を貫けばいい。

その結果起こり得るあらゆる事象を受け止める覚悟があるのなら
責任の分散をして人として恥ずべき行いをしている連中よりナンボもマシ。

私も、「挨拶を交わしただけ」、「黒板を日直でもないのに消しただけ」、
それだけのことで教師加担の大規模なイジメによって迫害され高卒資格さえ取れませんでした。

集団と違う事をしていたら品行方正な行いすらも
イジメの的にされるのです。
集団心理なんてクソだ。
本当は力づくで壊滅させてやりたいくらい腹立つけど

それだと彼等野蛮人と同じになってしまうから
あくまでも私は自分が生きた手本じゃないけど
個人主義の良さを自らが行動で示してみせる。

ブログでもいいし何でもいいけど
小さい声だけど細々と訴え続ける。
個人の権利や自由と、集団主義に対する疑問と
自分の行為や人生に責任と愛情を持って生きる重要性を。

団体の中に属しているときも
集団の為に誰かを生贄にする事をせず
仕事だろうが何だろうが
幾らでも代わりの利く歯車ではなく
宇宙にたった一人しかいない個人として認め合う事の大切さを。

誰にも理解などされなくてもいい。
孤独な道でも批難されても、やり方を変え工夫に工夫を重ねつつ
機が熟すのを待つ

(状況を想像して教師や集団に対しての怒りから
 熱くなってしまい口調が雑になってしまってすいません)

No title

Neroさん、こんにちわー。

すごい体験されてるんですね。
集団の心理はおそろしいですよね。
やつら、概してヒステリックなようにも思えます。
学校で見たかれらと、ニュースでやってたカルト・オウムの連中と
いったいなにが違うのか、と考えるとぞっとします。
大した違いはないのでしょうね。
イワシの群れが一匹の大きな魚を気取るようなもので、
DNA単位の行動なのでしょうから、厄介ですね。
ただ、魚は、あくまでもそれは影にすぎないとわかっていて
個は個としてちゃんと残ってあるのではなかろうか、なんて。
集団の中で没個性した人間は、やはり空恐ろしいです。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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