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雑感 池ノ端

用事で上野に来たので、不忍池によった。
蝉のこえと、テナーサックスの演奏が聞こえる。
なにやら知らないが、悲しげな曲をやってる。

こめかみから、ほほ、あごへと、汗が伝わって心地よい。
近所ではまったく聞こえない蝉のこえが、
夏を演出している。
ひとりで、時間まで、ここで待とう。

目の前には、乱暴なほどに繁茂する蓮の葉。
そのすきまに、居心地悪そうに、いくつかの花が咲いている。
花盛りは終わったのだ。
もう、葉をどんどん大きく広げて、
しっかり栄養をつくらなくてはならないのだ。
むかし、平日の昼間に、つくりかけの小説の続きを考えながら
東京駅のビジネスマンの海のなかを歩いていたときに
感じた、あの居心地の悪さだ。
きりぎりすだって、きりぎりすなりに働くことができるのに。

この時期の植物は有益な葉ばかりを大きくして、
根をまだ太くしようと、根をもっと拡げようと、
生存競争に努力を惜しまない。
隣のやつより、高く伸びなくては、
限りある日光によくすことができず、
そうなれば、栄養を稼げず衰えていき、
衰えれば、さらに背丈は伸びなくなり、
やがて、周囲の陰に隠れて、枯れていくしかないからだ。

友人が受験勉強にやっきになっていたころ、
ぼくは彼らを軽蔑した。
人生にはおもしろいことがたくさんあるのに、
なんだって君たちは、来るひもくるひも
勉強ばかりしているのか。
彼らはいま、東大で研究をしたり、
弁護士として第一線で活躍したりしている。
あのころ、ぼくらの背丈はさほどかわらなかったのに。

彼らはいまのぼくを見て笑うだろうか。
微笑みの裏で軽蔑するだろうか。
できれば、そうあってほしいのだが。


右から左へ、左から右へ
流れるように人が通りすぎている。
8月の午後。
無性に泣き出したいような、
そんな感情がワクワクと込み上げてきて、困惑。


貧しくても清く。
報われなくとも正直に。
バカにされても誤魔化さずに。
生きていこう、と思った。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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