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DくんとIくんの会話

「ぼくはぼくなりにね、考えてはいるんだよ。

ぼくなりに、世界をよくしたいと願っているよ。

でも、その世界というのが肝心なのさ。

誰だって君のようにね、世界をクリアに見つめて

それをシンプルにかつ、的確に表現できるとは、限らないだろう?

そうじゃないか?」


「おれにはお前が何をいいたいのか、わからないな。

おれだって最初から世界が見えてた訳じゃないさ。

勉強したんだ。四苦八苦だよ。

おまえがいう苦しみってのは、おれの苦しみとは違うんだな。

何百冊と本を読んだ。何人もの人に会って話した。

そうしてすこしづつ見えてくるもんなんだ、世界とはさ。

おまえも、だから、世界を見ろよ」


「それがつまり、危ういんだよ。

それがぼくには厭なのだ。

君は勉強というが、その読んだ本が正しいか正しくないか、

それをどうやってきめるのだ」


「ある意見を読む。それに関わるセカンドオピニオンを探す。

それから反対意見も読む。じぶんで咀嚼する。それを繰り返すんだ。

そうやって切磋琢磨していくのだ。磨き上げていくのだ。

おまえは曇りガラスの眼鏡をはめているのだ。

その曇りを研磨しなくては、世界がみえないままだ」


「それだ。それが危ういというのだ。

世界は所詮、君の頭のなかさ。

ブロックをひとつずつ積み上げてるようなものだ。

知識や見聞というのは、世界をつくる材料だろう。

それをレンガのように使いやすいブロック状にして積み上げる。

そうして君が作り上げた君だけの構造物を、

世界とよんでいるに過ぎないじゃないか。

まだ知らないこともあるだろう。あるはずさ。

建物の裏側は一体どうなってる?

君の世界がハリボテじゃない証拠はあるのかい?」


「おい、見損なうなよ。

滅多なこというもんじゃない、友情にだってヒビが入るぞ。

おれは作ってなんかいない。これは科学だ。

観察と、検証と、比較と、結果さ。データなんだよ。

世界はハッキリとそこにある。裏側だってちゃんと見えるさ。

表面的な事象ばかりではなく、深奥のものをちゃんと感じる心はある」


「いいや、ハリボテにちがいない。

ぼくも君もね、ハリボテの世界で踊っているに過ぎないよ。

じゃあ、聞くが、君には精神病患者の世界が見えるか?

それとも、かれらも君と同じ世界を、同じように見ているのかね?」


「きっとそれをいうと思った。

病気もそうだし、個性や感性なんかも似たようなものだろうが

それはつまり角度の問題さ。位置の問題だ。観察者のね。

世界は、変わらないものがそこにあるのだ。

それをとりまく《見るもの》の姿勢がちがうだけのことさ」


「だから、それこそ、人の数だけ世界が存ずるということじゃないか。

いいかい、やめちまえ、そんなお勉強は。

こうして話してるお互いのこころだって、どうにもわかりはしないのだし

動かすことだって、本質的には無理なのだからさ。

なにが社会?なにが世界?なにが正解?

すべて投影さ。こうあるべき、こうあってほしい、

こんなもんだろう。な?ちがうかい。

ぼくの世界、これを、君はさっさと認めるべきだ。

いま君が見ているこのぼくも世界なんだからね。

世界なんだろう?

ならば認めろよ。世界はハリボテだってさ」





無益な押問答はつづく。

この対話は、過去のぼくか未来のぼくか

いずれにしてもぼくに関わる一場面だ。

いまのぼくは、その記録係。

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secret

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NoTitle

こんばんは。

近年インスタント食品ばかりではなく
教育や頭の使い方までインスタントになってしまって
誰かが用意した即席の答えを皆で突き合うみたいに
なっているから、

ちゃんとした古くからの一汁一菜の食事でないと
満足できない私としては、

自分以外に、こういう押問答を繰り広げる方は
とても少なくて、まるで右も左も分からない海外で、
お袋の味に巡り合ったような感動を覚えます。
なにが社会、なにが世界、なにが正解、オイシイですね。

きっと全てを生み出した根源を知っていたとしても
正解なんて分かりっこないと思います。
本当に全部を知る事が出来たときには
生も死も大して違いのないものになって
どっちでも良くなってしまいそうですね。

知っても知っても分からない事ばかり増えていくだけで
ずっと、モヤモヤしているから飽きもせず問答を繰り返しては
記録してを繰り返し、そうやって前に進めるのかもしれませんね。

NoTitle

Neroさん、こんにちはー。
コメントありがとう。

正解なんて、ね。
解の出ない問題を前に、死ぬまで頭をひねってる
そんな絵が、ぼくにはふさわしいです。
答えなんてだせない。
世界はあまりに不確定すぎる。
難しいものですね。

NoTitle

これ好き!名文です。トラックバックしていいですか?
ってゆーかトラックバックってどうするの?

私もいまだに世界に半信半疑です。
友人に「そんな疑問は中学生で卒業するもんじゃないの?」って言われたのが10年前。

だけど、この世界が寝てみる夢と違うってどうして証明できる?
紛らわすことはできるけど、確信できることは
われ思うゆえに我あり、くらいのもんだ。

夢とハリボテ、連想するものは・・・テーマパーク!
楽しんだもの勝ちです。

楽しみ方は人それぞれ。
偕誠館主人さんがマゾなら苦しむのもよし。でもそうじゃないなら・・・

発達障害って人類の生存戦略かもって誰かが言ってました。
つまり、ADHDの人は注意力散漫と言われますが、
それは非常事態に一番はやく気づく可能性が高いってことです。
皆が一緒の方向に逃げてるときに、別のルートをとれるってことです。
そうすると全滅の可能性が減ります。

そういう種類の非常事態に出くわすことは現代じゃあんまりないかもしれないけど、
精神病や発達障害の目から見たこと感じたことを発信することは
人類全体にとってよいことになる可能性があるんじゃないかと思います。

普通の人には普通の人の、変な人には変な人の役割があるはず




Re: NoTitle

ピピネラさん、こんにちはー。
コメントありがとう。

こんな迷文トラバして、大丈夫ですか??汗
たぶん、記事のしたのほうかな、
トラックバックする みたいなやつポチっとすれば
いいんじゃないかなあ?

> 友人に「そんな疑問は中学生で

ふふ、それはぼくも言われたことあります。

コギトエルゴスム、でしたっけ?
ぼくは荘子の胡蝶ノ夢のほうがしっくりきます。

> 偕誠館主人さんがマゾなら苦しむのもよし。でもそうじゃないなら・・・

ぼく、両方いけますよ。芸達者でしょ?
さて、役者となるか、演出家となるか、
いや、両方がいいな。
テーマパークなら、ぼくは演者側でありたいですね。観客席は退屈だから。

> 発達障害って

肯定的な捉え方ですね。すこし、聞いたことはあります。
ものは考えようですね。

> 普通の人には普通の人の、変な人には変な人の役割があるはず

はい。最近、少しずつ気づきはじめてきたとこです。まだ、尻尾をつかんだ程度だけどね。

刺激的なコメントありがとう!
また考えるきっかけになりました。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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