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date :2017年12月29日

一行詩・五

いずれ死ぬけど今日は花を植える

もくもくと働く機械をまねて

四、五枚の短編にすらならぬ日常

排便の喜びに似たるわが詩作

冬の朝に噛むつめたい空気




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半生

なんと平凡な半生
似たような今日の羅列
たとえばそれを隣の人と
挿げ替えてもわからないような
よくある半生
あやふやな思い出

蜃気楼のような思い出
思い出のような記憶
記憶のような脳のカス
脳のすみにたまったカス
脚色された過去
話すたびに色がついていく
過去
わたしのもののようでいて
それはわたしのものではない

忘れてゆく半生
つくりあげられた虚栄の過去
無様な思い出
恥辱と屈辱
奪われた思い出
打ちのめされた思い出
記憶が自分で
自分は記憶の集合体
いや、そんなはずはないのだ
データとしての過去
そんなものは存在しない

美しい建築は
目をひき心を奪うが
時とともに老いてくたびれてゆく
風化し
砂になり
土や植物のなかに埋まってゆく
数百年後に誰かが見つけても
その美しさをおもいだすことはかなわない
輝いた今を
数十年ぽっちも
憶えていられないのだから

過去は創作だ
みずからの口から
語られる過去はすべて創作だ
SFも私小説もおなじフィクションだ
どれも蜃気楼のなかにある

この世には
いずれ死に消えていくものたちだけが
生きている
生き続け憶え続けているものはない
みなやがて死に
死とともに忘れる

この世はすべて忘れられる
マヤもアステカも
平成の日本も
明治の日本も
南北戦争も
フランス革命も
みな空虚な思い出で
どれも薄っぺらい嘘で
表面を脚色された過去だ

アウシュビッツから生き延びた男は
その子供や孫に語るだろう
己の半生を
人間の恐ろしさを
けれどそれは彼の記憶そのものではなく
数十年のときのなかで
造りあげられた嘘の物語だ
そうして積み上げられたものが歴史だ

わたしの半生は
ほんとうに平凡でつまらない
君たちと大差ない
冒険家や旅人の友人から
素晴らしい思い出話を聞かされるたびに
自分はなんと狭い世界で
なんと凡庸に生きていることかと
打ちのめされる思いがする
しかしそれは思うだけであって
だからどうということもない

わたしには忘れられぬ瞬間などない
いまも鮮やかにまぶたに浮かぶ
あの景色も
あの顔も
きっとすべてわたしの手によって
色がついた思い出でしかないからだ
それは虚構なのだ
それらは全部嘘なのだ





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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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