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date :2017年04月04日

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わたしと詩

わたしの詩
わたしにとって
これ以上価値のあるものがあるだろうか
家族も
友人も
仕事も
趣味も
どれも大事なものにちがいないが
どれもわたしの詩の養分となる
そのためにあるとさえ
感じるときがある

わたしの死
昨夜も死をおもって
胸を患った
心臓を万力でしめつけられるような
喉から泥が吐きだされるような
この病は
生涯、完治するはずはない
生きている間中
わたしはつねに
「死」につき纏わられている
陰鬱な探偵
決して姿を見せることなく
執拗にわたしを尾行している
いつ、どこででも

わたしの詩
死の探偵がみはっている
わたしの後ろから、ななめ後ろから
ななめ前から、ときに、目のまえで
死を思うとき
わたしは孤独の極致へ拉致される
自分の体がふわりとうきあがって
自分のものではないように感じる
やがてくる絶対の漆黒
不可避の重く青い桎梏
それに向かいあうために
わたしの詩はある

わたしの詩
今日、仕事帰りにみたあの夕焼け
りんご飴ほどに赤い、稚けない太陽
その太陽に背中をやかれた昼の仕事
玄関でわらってわたしを出迎える妻
家中をあるきまわって思案顔する猫
掌のなかにあるかなしみ、よろこび
そこからこぼれるさみしさ、おかしさ
踏切のまえでカンカン、カンカン
わたしに訴えてくる何か
赤信号、赤い太陽、赤い血
目のまえをかすめるようにすぎる
電車の轟音と、その盗賊のごとき疾さ
共鳴するかのように身震いする心臓
わたしの赤い心臓

わたしの詩
この街並みも、この茜色の空も
あのひとも、このひとも
孤独なわたしも
おそろしい夜の闇も
あふれかえる感情も
もてあます虚栄心も
書かれるのを待っている
右も左も、上も下も
南も西も、東も北も
明日も、昨日も、はるか昔も
すべてのものが
ずっと
わたしに
書かれるのを待っている

そのときわたしは思ったのだ
わたしが詩なのだと
自分の外のものを追い求め
ないことを嘆き
新しいものをさがすことはない
それはつまり
書く必要すらないということ
なんのために生まれたのか
それがはっきりとわかった
わたしは一篇の詩だったのだ

わたしは詩
わたしが詩

皮膚の下を赤いインクが流れている
子どものほっぺたほど赤い
りんご飴ほど赤い

わたしは詩
世界を踊る




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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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