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date :2016年03月

  • 2016.03.29(火)

鏡あそび

四つ。
五つ。
六つ。

二枚の鏡、その真ん中に私
私の顔
近づけるほどに顔はふえ
私の背後の空間ほどに
鏡のなかの空間がひろがっていく。
四つ。
五つ。
六つ。
六つの私の顔が、私を見ている。
あるいは私の顔を見ている私を見ている。
そっぽを向いている顔をみつけると、
どきり、とする。
お前はいつのまにこんなに近くに、
私のほほに、お前のほほが触れてるじゃないか。
七つ。
八つ。
九つ。
・・・
ああ
なんてことだ
それぞれの
それぞれの顔の二つの目にも
私の顔が映っている

あ、めまい

のけぞり
見上げる風呂場の天井
そこに湯気
もわり もくり
安全剃刀
十八の目の玉のなかにうごめいていた私どもの顔
その幻影が
湯気の中でたわむれている
石鹸のあわ
ぬれた腕
精神安定剤
・・・
もう一度
鏡に目をむける
一枚の鏡

一枚の鏡に一枚の顔
私の顔
鏡を伏せる
とたんに、ほら、もうわすれている
・・・
安全剃刀に
石鹸のあわ
遊牧民の夢
湯気、湯気、湯気
じゅう

私の顔はすぐこぼれてしまう





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つかれた

布団にこもって聴覚を殺し、顔を殴る、救いはない。
雨の夜道をのそのそ歩く、救いはない。
何本も煙草に火をつけては消す、救いはない。
結局のところ、おれはひとりだ。
だれにもおれの苦しみはわからないのだ。
おれはだいぶん、世の中のことがわかってきたぞ、と思う。
それから、おれの寿命も。
もう長くない、それは間違いない。
死ぬ時もひとりで死ぬだろう。

ああ、おれがそもそも間違っていたのかもしれない。
旧友よ、孤独よ
いつでもおまえがおれのそばにぴったりくっついて。
おれを救ってくれていたのかな。

飛びだしたい!
妻の眠るこの家から
町内をさえない顔でうろうろして
凍えて帰ってくるのではなくて。
もうなにもかも棄てちまって
誰にももう迷惑はかけませんから
ひとりでゆくのだ。
書き散らして死ぬ。それだけの人生ぢゃないか。
いつのまにか、何者かになったような、この驕慢。

聞こえる雨音に混じった罵倒。
見えてる死角にうごめくくそったれども。
おれを一体どうしたいのだ。

近いうちに死のう。
そうだ、いま作りかけの詩集、
あれが完成したら死のう。
悲しいのもそれまで。
こんなに苦しむのもそれまで、だ。
どうだ、少しは希望がわいてきたか。
もともと、今生に未練もなし。

ああ、ひとりだ。
今夜はかみしめるようにひとりだ。
ひとりだ。
ひとりだ。

おれがなにしたって言うんだ。
まあ。
いいさ。
もう死ぬんだからね。




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2016328

どんどん苦しくなる。
どんどん苦しくなる。

右の耳に右の時計の秒針の音。
左の耳に左の時計の秒針の音。

頭をひらいて、脳みそを洗って干してしまいたいのに
頭蓋骨の鍵をどこにしまったか、おぼえていない。

時間はすすむ。
朝が近づく。

ここに一人、ぼくがいる。
宇宙にむけて、言葉を吐く。

目の穴の内側から誰かが見ている。
そこに誰かが棲んでいる。
それをぼくだと思っていたけど
もしかしたらちがうのかもしれない。

ああ、夜がすべりおちていく。
月が嗤っている。

血は封印されている。
叫喚は閉ぢこめられている。

その気取った横っ面、張り倒してやりたい。
壁に向かってぶん投げてやる。
血が出たって、あざがにじんだって、やめてやらない。
耳からこぼれた、一億リットルの感嘆符。

爆ぜてなくなれ。




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翡翠

草むらに落とした翡翠を探しにゆかう。
見つかりつこないと思うけれど
見つかると信じて探しにゆかう。


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琥珀

ちんけな虫けらのやうなあなたです。

それが夏にはよく働き
秋にはすこしは肥え
冬にはおとなしく読書などをし
春にはきまつて発狂してゐる

ちんけな虫けらのやうなあなたです。

どうです
詩人になれそうですか
うるしにかぶれたときのやうに
その手は掻痒にふるえていませんか

詩にかぶれてはいませんか
詩に何かを求めていませんか
書くことを創ることだと思つてやいませんか

ちんけな虫けらのやうなあなたです。

琥珀のなか
あなたの詩は
一文字として遺らないでせう。
ただ、ちんけな虫けらの遺骸がそこにあるだけでせう。




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伝書鳩さんが云いました。

人は
未来にばかり夢を見ているわけではありません。
過去を思ってみてください。
ほら、ね。
みんな、夢のようではないですか。
輪郭はもやもやとし
背景はにじんだ水彩画
あの人の声も、天使の声も
同じにように聴こえる。
過去も未来も、夢でできているのですわ。
全部、夢なのだわ。



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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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