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date :2015年08月15日

弔詞

ぼくらが戦争を語るとき
どこかしら滑稽さがはみだしてくる
戦争のさなかを生き、あるいはそこで死んでいった人たちの
言葉を借りて語るしか
ぼくらには、方法がない。

また石垣りんさんの詩をのせたい。
祈りのような、この詩を。



『弔詞 ―職場新聞に掲載された一〇五名の戦没者名簿に寄せて― 』

ここに書かれた名前から、ひとりの人が立ちあがる。

ああ あなたでしたね。
あなたも死んだのでしたね。

活字にすれば四つか五つ。その向こうにあるひとつのいのち。悲惨にとじられたひとりの人生。

たとえば海老原寿美子さん。長身で陽気な若い女性。一九四五年 三月十日の大空襲に、母親と抱き合って、ドブの中で死んでいた、私の仲間。

あなたはいま、
どのような眠りを、
眠っているだろうか。
そして私はどのように、さめているというのか?

死者の記憶が遠ざかるとき、
同じ速度で、死は私たちに近づく。
戦争が終わって二十年。もうここに並んだ死者たちのことを、覚えている人も職場に少ない。

死者は静かに立ちあがる。
さみしい笑顔で
この紙面から立ち去ろうとしている。忘却の方へ発とうとしている。

私は呼びかける。
西脇さん、
水町さん、
みんな、ここへ戻ってください。
どのようにして戦争にまきこまれ、
どのようにして
死なねばならなかったか。
語って
下さい。

戦争の記憶が遠ざかるとき、
戦争がまた
私たちに近づく。
そうでなければ良い。

八月十五日。
眠っているのは私たち。
苦しみにさめているのは
あなたたち。
行かないでください 皆さん、どうかここに居て下さい。
石垣りん






どうかいつまでも
ここにとどまりつづけ
わたしたちを叱ってください
あなたがたの死の上に
無自覚にあぐらをかいて
怠惰な平和に
ほうけている
期待外れのわたしたちを
どうか叱ってやってください




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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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