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date :2015年07月

  • 2015.07.01(水)
  • 2015.07.11(土)
  • 2015.07.13(月)
  • 2015.07.19(日)

このあたりは
毎年
じつに多くの蜂たちが
巣を営んで
ぶんぶん ぶんぶん
凶暴な羽音をまとい
シャリンバイや、ツツジのかげから
あっちの空へと
ぶんぶん ぶんぶん
飛び回っているのだという

「さしずめ
蜂の六本木ヒルズか
はたまた青山、成城といったところか」

とにかくそんな場所で仕事をするので
わたしは手の甲を刺されてしまった
指も曲がらぬほどに
腫れあがってしまった手をさすりながら
巣の周りを警戒する
猛り狂った兵士たちを凝視していた

「いやいや
刺される、刺される
ここは蜂地獄だ」

なるほど
蜂地獄
それはよい例えかもしれない
人の住みよいあの街なんかも
よくよくみれば
地獄のように見えるのだから
人間地獄
とでもよぶのだろうか
そう言う人を見たことはないが

「ほれこのスプレーをひと吹きすれば
くるくるまわって落ちていきよる」

こわれたネジのように
つぎつぎ地に落ちていく兵士たちを
わたしはなおも凝視していた
やがて兵士らの守っていた巣は発見され
人の手によって 地にたたきつけられた

おや
足元の巣の中から
いくつもの目の玉が
こちらを見ている






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言葉

わたしはこども
父と
母の

詩は
わたしのこども
父は
言葉
母は
言葉ではない
何か

詩は
本当に
言葉のなかにおさまっているのか

言葉では
訪ねることの
けっしてかなわない
とおい
とおい
むこう
しみだしてくる
そのなにかが
詩の
お母さんなのではなかったろうか








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傷あと

傷がほこらしいときがある
この傷あとは
わたしが今日まで
迷いながら
喘ぎながら
叫びながら
ふらふら
よろよろ
生きてきた
唯一の証なのだとおもうとき
この傷を
頼もしくも
ほこらしくも
思うのだ

わたしは何に傷つき
何を憂い
涙をいくつぶこぼしたのか
それだけが
わたしの生きてきた証になるのだ

ああ
だから
魂よ
わたしをいつまでも
剥き身でいさせてくれ
切られても
焼かれても
ぶたれても
こごえても
魂よ
裸のままで
その
むきだしの 無垢のままで






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交差点

交差点のむこうから
歩いてきたのがあなただったとして
わたしはそれに気づけたか
それともただすれちがったのか

ひとめでも
わたしはあなたを見たのだろうか
あなたはわたしを見たのだろうか
その瞳を かわした瞬間はあっただろうか

袖が触れあうことがあっただろうか
あるいは手をしっかと握ったろうか
その手をあなたは握り返したろうか
わたしは何かを話しただろうか

交錯は
交差点の一瞬
点滅する青信号に目を奪われた一瞬に
出会わずに別れていく

握られたはずの手を
話したはずの言葉を
見かわしたはずの視線を
わたしはどれだけもっているだろう







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抱擁

しろい
かよわい白鳥を
ぎゅっと抱きしめている
見えない涙が
そのちいさなあごから
したたる
なにを見ていただろう



階下から母親の声がする
時間がせまってきていたのだ
放課後の夕焼け空は いつの間にか
星がちらつきはじめる 紺色の空になっていた
不自由な おさない恋は
つねにせまりくる時間とのたたかいだった

「もう帰らなくては」
少年がそういうと
少女は腕にぐっと力をこめた
「お母さんに怒られてしまうよ」
少年の首筋にまかれた
ほそく しろいその腕は
一体
何を抱きしめていたのだろう

いつまでも離れられない
恋の磁力に
少年はほほを紅潮させた
少女がこうまで
自分を求め
自分を必要としていることに
かれは目に見えぬ王冠を戴いた気分さえ感じた

少年は明日もまたこうして
少女と時間を過ごすことを予想していた
そうしてそれが
いつまでも続くと
信じて疑うこともなかった
胸の中にともった灯が
どんな風のなかにあっても
消えずにともり続けるものだと思っていた


十数年のときをへて
灯は消え
燃えかすだけが のこされた
その残骸を見るたびに
かれは胸をチクリと痛める
そしてあの灯をおもいだすばかり

そうしてあるとき
はたと気づく
あのとき少女が抱いていたのは
ただ 少年の 細い首ばかりではなかったこと

少女は
時間そのものを抱きしめていた
時の不可逆を知っていた
恋の短命を知っていた
経験からではない
おそらくそれは女の遺伝子の知恵によるもの
男はほほえみ
かわいいやつだと頭をなでるが
女の全霊こめた抱擁には
まるで かなうはずもなかった

少女は時間ごと恋人を抱きしめ
かれの人生をまるごと包み込んでいた
その場の別れをおしんでいたのではなく
あまりにもはかない人生と恋と
そうして無慈悲に通り過ぎていく時間そのものを
少女たちはその場につなぎとめるように
抱きしめていたのだ

男たちには
それがわからない
だから
十数年をへてやっと
自分はあのときの少女に
いまだに抱きしめられていることを
知るのだった

日々モノクロに薄れていく
頼りなげな記憶の中で
少女たちの姿だけが
いつまでも極彩色に輝いている

少女の抱擁が
一生の一秒に
永遠のいのちを与えてしまったのだ







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飯場者ブルーズ

わずかなデヅラでパンを買う
それは彼の毎朝の習慣
仕事が始まる二十分ほど前
会社のちかくの公園のベンチに腰かける

百円で買ってきたパンを
ちぎっては投げ
ちぎっては投げる
それはすずめを養うためだ

故郷の函館には
もう何年帰ってないだろう
飛行機など乗る金もなし
いちにち働いて食うだけで終わる

郷里は北国
死ねば帰るか
肉体労働の日雇いならば
動けなくなったら骨になる

すずめはチコチコ走り回るが
何倍もの大きな体のはとが
さっとパンをかすめてしまう
すずめは五羽 はとは二十羽

仕事が終われば
三日に一度は飲みにいく
十五年 通い続けている店に
体のどこかに泥をこっそりつけたまま

店のママのことなら家族よりくわしい
ママの妹は恋人だし
三歳だったママの娘は大学生になり
父の日になにがほしいかと尋ねてくる

ママの離婚の原因も
そのあいだの葛藤や苦悩も
かきまわす酒に こぼした涙も
彼はすべてを見守ってきた

死ねば本当に帰るだろうか
郷里に誰もいなくなれば
彼の骨はどこへゆくのだろうか
筋肉も体力もおとろえてゆくのに

動けなくなってしまえば
飯場から去るよりほかない
何も誰も保証などしてくれない
彼はその腕いっぽんで生きているのだ

昼になれば粗末なパンに缶コーヒー
すずめにやるパンをきりつめれば
もうすこしいいものも食べれるだろう
もうひとつ自分で食べれるだろうに

函館の夢を
見るだろうか
いまの彼をみている限り
函館よりも すずめのほうが郷里に近い







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降ってきた休日

朝五時に起きて
仕事の準備をしていると
社長から電話がはいった
たんが絡んだのどを無理やりこじあけて
電話をとる
今日は一日雨みたいだから休みにしよう と

コーヒーを飲みながら
突然やってきた休みをどう過ごそうか考えている
せっかく時間が空いたので
いろいろ書いてみようと思ったが
昨日から
何を書いてもしっくりこない
十分ほど書いては消し
それを繰り返しているうちにすっかり疲れて
萎れてしまっている

うまく書けない
しっくりこない
頭の中の辞書を
どこかの現場に落としてきたのかもしれない
それでも書くことに意味があるので
こうして書いている

今回のこの文章は
削除せずにおこう
たぶん大丈夫だろう
これ以上 よけいなことを書かなければ






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わたしのかわいいお花たち
くちなし、かんな、アガパンサス

あさ
仕事へむかうわたしの目には
その姿をまったくとどめないのに
つかれて
よごれて
くたびれて
家に帰りゆくわたしの目に
なぜかいつも凛々しく映える

わたしのかわいいお花たち
あじさい、むくげ、きょうちくとう

ながい帰路
雨のときも
風のときも
今日のように
暑いときも
ほら
あのカーブをまがって
立葵の美しく
立ち並ぶ小道をぬければ
こころよい我が家はもうすぐそこだ
左右に並んだ色とりどりの
可憐な 気高い 葵たちが
一日の終わりをわたしにおしえる

ああ
彼女たちのように
夏の太陽をつかまんばかりに
手をのばし
ぐんぐん
どんどん
わたしも
伸びてゆくことができたなら

わたしのかわいいお花たち
くちなし、むくげ、ホリホック

梅雨のやつ
遅れてとびだし やってきた
バタ足で来て そしてあわただしく降りつづけ
そのまま去り
不意に
夏がはじまった 昨日
おまえたちの季節がはじまったのだ
わたしのかわいいお花たち

夏が来、そして
夏が帰れば
花は枯れて
その種子をはじく

その日まで
わたしはおまえたちを見守っているから
わたしを勇気づけ
慰めておくれ
わたしのかわいいお花たち

来年も ここで会いませう






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ぼくという詩

よいものをつくろうと
思いたち
書斎にすわりこんでは
元も子もない

机をにらんでみても
ほおづえついてみても

詩はつくるのではない

語るように生き
生きるように語るのみだ

ぼくという
ひとつの詩
その可能性を
一度
空にあずけてから のち
再び ぼく自身に
それを問うのだ






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風呂

排水溝にながれていく
あの顔
あの声
こぽり こぽり
ながれていく

今日いちにちの
できごとのすべて
首をすこし後ろにむけるだけで
すぐに見えるほど
過去とよぶには近すぎる
それらの
あの顔
あの声を
ざばん ぱさん
ながしていく

風呂場のかがみをのぞきこんで
ひげを剃る
今日いちにちで
わずかずつのびた
このひげ
体についた泥やほこり
汗や
かなしみや
怒りや

すべて
排水溝にながれていく
あの顔も
あの声も
いやな言葉も
いやな出来事も

体のよごれと
心のけがれを
排水溝にながしていく

それをぢっと見ているわたし






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風景にわたしがいない
わたしの目がみている
この風景に
わたしがいないなんて おかしい

陽にやけた
手の甲ばかりを見ている
黒く たくましく かたい
手の甲ばかりを見ている

てのひらは
しろく やわらかい
ぐっとにぎり
こぶしをつくる

わたしはてのひらの中にある

てのひらを見つめるとき
人生の足は
すこしのあいだ
立ち止まる
三十二年
使い古しの
このてのひらには
いいようのない
物語がある








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花火

もう少し話していたいから
もうずいぶん酔っているけど
ハイボール
もういっぱいだけ飲もうかな

駅前 ビルの四階
安いフランス料理の店
みおろす
窓の外は雨
歩道橋には傘
夜空には花火
ここから見える何十人もの人らが
待ちに待って 見上げる花火
ぼくの窓から花火は見えない

遅れてくるコースの料理に
文句いいながらもお酒と笑顔
妻の家族が全員そろって
ぼくの前で笑顔をはじく
ハイボールが炭酸はじく
何千発の花火より
見たいのはこの笑顔の花火

酒を飲んだら薬はのまない
病気のことも今夜は忘れて
いつもふとんに入る時間に
こうして酒をくみかわす一夜

まっくろに灼けた腕
妻のうなじをすべる汗の玉
花火の轟音
下町の歓声

駅前 あふれる学生 夜光虫
夜が良いのか こわいのか
人ごみ 喧噪 にぎやかな夜
音速 通過す 青春のかげ


夏がきたのだ






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くもりぞら
うめつくすような
鵜の群れ
おおきな
おおきな
巨大な一羽となって
低くそらをうねって飛んでいた

ぐるり
まわり
うねり
めまい
うなり
なみたつ海

台風からにげてきた魚の群れ
集中攻撃
くろいそら

空がうめつくされてしまった
規則的にみえて無規則な
無規則にみえて規則的な
そのうねり
ぐうるぐると
そこに一個のおおきないきもの
集団の意思をあらわす

ぼくは呑みこまれていたんだ





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盗んだ

地球の背骨をひっこぬいてしまった
なんてことだ
もう自立もできないかもしれない

ぼくは自分が背骨泥棒だと
露見するのがたまらなくおそろしく
盗んだそれをあわててベッドの下に
隠したのだけれど
夜ごと それのきしむ音が
ぼくの神経をすっかりとがらせ
摩耗させてしまったぢゃないか

背骨をうしないぶよぶよになってしまった
この地球はまるで
空気の半分もないゴムボールのようで
ぶよぶよ ぶかぶか
不安定で歩きづらい

誰かかわりの背骨をくれないかしら






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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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