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date :2015年05月

  • 2015.05.17(日)
  • 2015.05.19(火)
  • 2015.05.21(木)
  • 2015.05.22(金)
  • 2015.05.23(土)
  • 2015.05.23(土)
  • 2015.05.27(水)

白い朝

白い朝
レースのカーテンは
涼しい風をうけて
ふくらんだり
しぼんだり
ぼくの心臓も
おなじ理屈でうごいてる

白い朝
しずかに死への思いがうごく
どうしてこうも 死にたがる
生活に不満のあるわけでもなし
命のドラマを目にすれば
すぐにおいおい泣きだすくせに
なぜ自分の命を嫌悪する

「病気のせいです」
先生はいう
「薬をのんでやすみましょう」
妻はいう
「気にやむなよ、ゆっくりいこうぜ」
猫がぼくにいってる気がする

ぼくはどの言葉にも
心底うなずくのだけど
そのすぐあとで
同じ思念が
頭の中を転がってゆくのを見る

それを食い止めるのに精いっぱいで
きょうを充分に生きていけない

いまのぼくにとって
生きるとは
死なないことだ






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叔父との会話

目をみればわかる
こうして話せばもっとわかる
おまえの文章見ればはっきりわかる
太宰にかぶれたんだろ
思春期の、にきびやはしかみたいなもんだ
誰もが一度はあいつにかぶれる

早稲田卒の叔父が言った
中卒のぼくは答えた
「毅然と」した態度になるように気をつけながら

おじさんはマルクスにかぶれたんだろ
太宰と似たようなものだねえ



ふと思い出した昔の話です。




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おだいどこ

朝は、台所がいちばん明るい
コーヒーをいれて、すすりながらあれこれおもう
ぼくは早起きがすき
朝の一時間は昼の一時間より価値がある
などとおもう
それが習慣だから そうするのだ
朝は、頭の中がいちばんあかるい
まったく無邪気に そうおもうのだ

いままでなら
そうして小一時間すごしてから
仕事のしたくをする
じつは昨夜にすませてあるそのしたくを
もう一度するだけなのだから
時間はかからない
早起きするのは
いちばんあかるい頭のときに
あれこれおもう時間がほしいから

昼は家にいない
猫たちが主役の家になる
蜘蛛とあそんだり
普段はおいはらわれる台所のうえであそんだり
のんきにひなたぼっこなぞしているのだろう
見たことはないが
きっとそうにちがいない

そうして夜
一日のかわきと飢えをみたすための
ゆうげをふたりでつくる台所
きょうはどんな日であったとか
だれがこう言っていただとか
他愛のない話でぽっとしずかに灯をともす
夜のやみのなかで台所がいちばん明るい





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日記5-14

散歩は世界とのふれあい
精神病院へ通うのは病とのふれあい
友との語らいは友情とのふれあい
きょう
ひさしぶりに社会とまじわる
なくてもいいような
自動車免許
これの更新をしなくちゃいけない
億劫だけどしかたない
ひげも剃って
そこそこきれいな恰好をして
社会とまじわる
仕事では行き慣れた東陽町
働く人のまち
あまり好きじゃないところ
でもしかたない
社会とまじわる
しっかり妥協してくる
おりあいをつけてくる
いつまでいがみあっててもしかたない

きのう
妻と散歩をしていたとき
あんまり天気がよかったので
噴水のはたにねころんで
青一色の空へ脚をなげだして
空を歩いて遊んでいたら
のどの奥から「あっ」と大きな声がでた
来月でぼくは32歳になるのだった
忘れていた
心底おどろいた
32歳になることに、じゃなくて
知らぬ間に
ひとつ年をくっていたことに

呆然としながら
公園の植え込みに咲いた
ちいさな白い花をみていた
たぶん車輪梅だろう
梅によく似ている
清楚でちいさいのに
どこかおかしな大胆さがある
匂いをかごうと鼻におしあてた
風邪っぴきのために
その香りはわからなかった
ただほこりだけをすいこんだ






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森田童子



淋しい ぼくの部屋に
静かに 夏が来る
汗を流して ぼくは
青い空を見る
夏は淋しい 白いランニングシャツ
安全カミソリがやさしく
ぼくの手首をはしる
静かに ぼくの命は ふきだして
真夏の淋しい 蒼さの中で
ぼくはひとり
真夏の淋しい 蒼さの中で
ぼくはひとり
やさしく 発狂する
「逆光線」
森田童子




小学生のころでした
真夏の狂暴なあかるさの下で
くろぐろとふかい影をみつめながら
水泳のあとのつかれた体をひきずって
家に帰るところでした
「真夏の淋しい 蒼さのなかで
ぼくはひとり
やさしく 発狂する」
発狂する予兆に
うっすらと恐怖をおぼえました
ぼくはきっと
わるい意味で 人とはちがう
そう感じはじめた
いつかの夏休みでした

チョコレート工場の白い塀にもたれて
ぼくは膝をつき
小刻みな呼吸と
胸の 刺すような痛みに うずくまりました
息を吸うたびに 胸が痛むのです
痛みは つかのま
恐怖をやわらげてくれましたが
夜にはもう その痛みは消え
太陽のしたで感じた予兆のような恐怖が
ぼくのてもとに 帰ってきていました

そんな遠い一日を
まだ覚えてるなんて おかしいです
ほかの大事なことは
たくさん忘れているのに
象徴的な
その夏の一日に
この歌がいちばん似あいます




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眠れ


と触れれば
いまにもくずれてしまいそうな
あやういバランスのうえに
いる

きのうのこころで
きょうも暮らせるとは
かぎらない

きょうのぼくが
あすもいる保証など
どこにもない

あたまが
ギシギシ音をたててる
狂わない
はずがない

アルマジロのように
ヤマアラシのように
じぶんの内側をまもり
まるまって
ぢっとしていたい

さっきまで
ふつうに「生活」していたのに
不意に
まったく
唐突に
もやがかかる
死の
霧で
視界がまったくの
ゼロになる

なにもかもが
ぼくを脅迫する
なにもかもが
ぼくを孤立させる
なにもかもが
ぼくをあざける

なにより
ぼく自身が
ぼくをあざける
ぼくを心配させる
ぼくをいたたまれなくさせる

眠ることすらこわい

皮膚をつかんでひっぱり伸ばし
そのなかにくるまれることができたなら
つかのまの眠りにもありつけそうだ


なにもできない






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だれもいない

会議室にはだれもいない
いつも
あれだけおおくの存在で
にぎやかに営まれている
この室に
いまは影すらない

物音のひとつとてない
窓の外から
エアコンの排気音か
大気の鳴動か
しらないが
なにやら一定の音が
聞こえはするが
室にはなんの音もない

光はなく
かび臭く
湿り
陰鬱な
この会議室に
空腹をかかえて
ぼくは座りこんでいるのか

色はなにもない
骨のような
乾いた
色の死骸が
よこたわってあるばかり


これはすべて脳内のはなし
ぼくの脳内でのはなし






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気流からはずれた鳥はどうなる

翼のないすずめは
まるでねずみのように
物陰から物陰に
チコチコ
はしっては隠れるばかり
隠れては
また
はしりだすばかり

気流にもまれる鳥
気流に愛されない鳥

クジャクのように派手ではない
ワシのようにたくましくもない
オナガのように美しくもない
すずめのように
つつましく
さっとつかえる翼でいい

気流にのれない鳥はどうなる

ぼくには翼がない
みなが流れをつかんで
ひといきに
あんなにとおくまで
その身を翼ではこぶとき
ぼくはぢべたを歩きまわり
首をひねっているばかり
みんなが大気を泳ぐとき
ぼくはぢべたの影を追い
チコチコ
チコチコ
走るばかり
途方に暮れて
うなだれて

もう見ることできない
遠くへ去った
なかまたちの
羽ばたきの音をおもい
その飛影をおもい
その群れのつよさをおもい
吹きくるかぜに目をつむり
翼のない胸をかぜにあてて
自分の飛影を幻視するだけ

かぜよ
ぼくには翼がない

飛んでは
どこへもいけない
ぼくは
歩くしかない







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まどろむ

まどろみの岸辺にうっとりすわりこんで
水面にたちあらわれては消えていく
夢の数々を眺めていた
ときに 自らのいびきのためにとびおきたりしながら

火花の炸裂するような
多種多様の夢を
凝縮された時間の中で見つめていたのに
起きてみると
なにもおぼえていない

生と死も それ
似たようなものだろうね






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湿気を帯びた林の中の
緑色ににごった池のまん中あたり
浮きつ沈みつしている
それだけで十分におもしろく
ぼくはその池から這い上がろうなどと
これっぽっちも思わない

たまに人の子らがきてはせっつくので
相撲などとってやると
きゅうりを恵んでくれるが
たいしてうまくもない
やはりすぐに退屈して
ぼくは池の中にもぐり
まん中あたりで浮きつ沈みつしている

べつにそれで
そのままでいいと思っている。




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老人

公園のベンチには
まるで景色に同化しているかのように
ずっとすわっている老人がゐる
これまでの あまりに長すぎた時間というものの
体積にたたずみ
そうしてこれからの
年金生活と 少々の健康と
あまりある時間を天日干しにするように
すんなりとそこにすわっている

ぼくはまだすこしだけ残されてある
肉体の若さに魂魄こめて
おもい体をはずませながらはしっている
あちらのベンチにもこちらのベンチにも
すっかり干しあがるのを待つスルメかなにかのような
老人たちがそっとすわって
どこか
ぼくの知らない
まだまだ知りえない
どこの世ともしれぬほうを
じぃっと見ている

はしりつかれて
曇天にむけて
あらい息をはぁっとはくと
額からあせの粒がこぼれた
ぼくはまだまだ干せないだろう







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眼球

ときに
めのたまをくりぬいて
放り投げてみたい気分にかられるのは
ぼくが病気だからなのか
それとも誰もがそう思うのかしら

「ポイ捨てはいけません」
という看板をわざと狙って右目を投げた

もういっぽうのめのたまは
鳩のえさにでもなればいいと
群れのなかへ投げこんだけれど
鳩め
ちょいとつついただけで
食いもしない

成仏できない
ぼくの左目
てかてかと
夏の日を反射していた

おい
こっちを見るな





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面接

わたしは 障害者です
とはいっても
服薬と規則ただしい生活をおくることで
だいぶコントロールできますし
業務には支障ありませんから
御社に迷惑はかけません
それに助成金もでるそうですよ

仕事には
いたってまじめにとりくむし
覚えもいいほうだと言われてきました
いかがですか
31歳、まだわかいですよ

中学でて すぐに鳶をやって
働きながら高卒認定をとって
八重洲でみっちりサラリーマンをして
そのあと造園でがっちり体もできてます
いかがですか

でもリスキーですか
わたしが障害者手帳をもっているからですか
これは黙っておきましょうか
いやいや
どうせいつかバレるのなら
最初に言ってしまいましょう
取り扱い説明書みたいに
最初のページに大きく書きましょう

でも
障害者であること以外に
御社に不利な点はありませんよ
いいえ
まだありました
もう一つだけ

詩を書いています。






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便利な世の中になったものだ

未明
都内に雷の雨がふる
何度となく
たたきおこされる
わたしより年をくったわたしたちの家は
雷の振動に
たやすくゆさぶられ
寝ているぼくをゆさぶり起こし
猫らを恐慌におとしいれる

まくらもとにある携帯に手をのばし
ねぼけまなこで見ている
つぶやくのは
「便利な世の中になったものだ」
中野区で 練馬区で 足立区で
千葉市で 市原市で 東村山で
みんながこの雷で起こされたことを知る
ここが世界の一端であり
寝ているうちに地獄へ落とされていたのではないと知れる





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日記5-21

びっしり
かきなぐってあった予定を
ここふつかで
すべて終わらせてしまったので
一瞬
こころにほらあなができた。

でも、それ
一瞬間だけのこと。
すぐに新しい予定が書きなぐられる。
生きてるって思う。

おとといは
はじめて
詩を投稿してきたし
きのうは
面接をしてきた。
そろそろ働かないといけない。
職安のかたのすすめどおり
病気のことを話さないつもりでいたけど
社長が誠実そうな人だったから
話してしまった。
おかげで気が楽になった。


かつての夢をおもう。
自分で会社をおこすこと
社会に貢献すること
いっぱいお金を稼いで
必要としているところへまわすこと
家族をしあわせにすること
気の合う仲間とだけ仕事をすること

ああ、なんて
ぜいたくな
無謀な夢だったろう

自分の弱みをみないように
それを克服できるように
つねに向上心をもてるように
みずから鞭をうってきたのだ

ああ、それはなんて
ぜいたくな
幸福な夢だったろう

いい夢をみてきたのだ。


ぼくはいま
家族をしあわせにすることもできない

本気で思ってる。
みな
それぞれが
かってにしあわせになってくれれば
と思う。

ただ、ぼくは
幼少のころからの衝動にすなおに
書きつづけることに決めたのだ。

へたくそでいい。
そんなことは問題じゃない。
何かのためじゃない。
これはぼくの最大の欲だ。

書きたい。

それだけなのだ。

詩では食えない。
だから働く。
仕事の時間は短いほうがよい。
だから起業を棄てた。
簡単なことじゃない。
ずっと夢見て
準備してきたことだ。
それでもその夢を棄てて
救われたのは
軍資金として蓄えてきたぶんを
生活にまわすことで
妻の肩の荷をすこし軽くできたことだ。

そしてぼく自身も。








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共食い

ごちそうさまを言わないと
親にたたかれたものだ

おいしいとんかつを
たべるとき
豚の死を忘れていないか

おいしい煮つけを
たべるとき
魚の死を忘れていないか

人が生きていくために
必要とする
莫大な量の


人類はその歴史上
もっとも多くの
同胞をくってきた
おそろしい生きものであることを
忘れてはいないか

今朝はトーストを焼いて食べた
ぼくもいつかこんがり焼ける
その日がくる
君にしろい骨だけをのこす
今朝はトーストを焼いて食べた


この朝の薄暗い部屋で
光る液晶
稼働するパソコン
この電気のために
原発が食い散らかした
あの
無数の死を
もう忘れてしまってはいないか

ぼくの無責任は
ぼくの怠惰は
無数の死のうえで
あまりにも滑稽に生きている


ごちそうさまを言わない子は
ひっぱたくしかないのだ





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仕事さがし

仕事があるでしょうか
こんなわたしにつとまるものが

仕事があることがさいわいであるということは
仕事がないときにわかるものです

黒い企業とか
貧困労働者とか
ずいぶん
のんきにさえ思えます
わたしはもとより貧しいのですから

わたしのてにすっぽりとおさまってくれる
よい仕事があるでしょうか
こんなわたしを
だれか使ってくれるでしょうか

仕事がないときは
そのことばかりが頭にあって
ぶらん ぶらん と
揺れています

こんな状態がいやなので
仕事をさがすのです






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人でない

会社や国を
擬人化するから
いろいろなことが
妙になる

会社に、こきつかわれた
国に、だまされた



こきつかった上司がいれば
そいつを ごちんと殴ってやれ
残業したんだ
よこす分だけキッチリよこせ
と叫べばいい

だました大臣がいるなら
そいつをピストルで撃ち殺せばいい
原発は安全だといったじゃないか
おまえも おまえも おまえも
乱射すればいいのだ

会社なんて人はいない

国は人じゃない

わたしは個人の責任をおいきれないから
擬人化して逃げようとする



卑怯者め




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改造

テレビにでてくる
「美女」のようになりたくて
お金をためて
都会にでてきて
田舎娘のその純朴な
ほほやまぶたに
札束くさいメスが入る
複製の美女がまたひとりふえて
社会に金がのみこまれてゆく
その金は
娘が懸命に稼いだもの
時間とからだを売って得た
血のような金なのに
それを払ってまで
個性を棄ててまでして
得たものは
画一的な「美」の鋳型
(それは人でない、工業製品としての美だ)
着せ替え人形になりたいだなんて
あなたはだれなの
目はもっと大きいほうがいい
鼻はもっとかれんにしたい
口も、ほほも、顎も、ぜんぶ
取り換え可能なパーツみたいに
いつか子供がうまれたら
田舎娘のころのあなたに
さぞ似ているだろうその子供に
あなたは何を語るのだろう

ペットショップにならべられた
「かわいい」子猫や「あたらしい」子犬
その裏に積み上げられる無意味な死
それはおびただしい量の無慈悲な廃棄
ひとの道楽、ひとの快楽に供される
あわれなみにくい失敗作の数々
その血、その臓物、その眼球
のらで生きる猫でさえ
そんな悲惨な目にあうものか
故意の畸形に「愛を注ぐ」とおっしゃっても
それは正気の沙汰じゃないし
ふんぞりかえって道をあるく散歩中のあなたは
美の、中流階級の鋳型にからだをまげて押し入って
ほんとうに みにくい
鎖はあなたの首にあり
それを「美」の犬がひっぱっているのだ

表面だけをとりつくろって
中身には汚い怨嗟や嫉妬
とぐろまく我利我利
金さえあれば別人になれる
ヒューマニティなんて存在しない
オリンピックがくるときまって
看過されてた場所にもメスが入り
乞食どもは追い出されると嘆いてた
乞食に家と職をあたえる工夫をせずに
客がくるときだけ押し入れに閉じ込めようとする
福島の復興を考えずに
原発のセールストークばかり考えている

日本人の汚い根性が
この時代におおきく
おおきく花ひらいている

美しい日本
おくゆかしい日本
ほろんでしまえ
卑屈な
惰弱な
保身のばけもの
いつまでもその醜さをさらすな







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亡霊

すなぼこりたてて
むこうの赤茶けた地平線のはてから
どう どう とやってくる
わたしの不安

そこいらぢゅうに
くすんだロープが吊りさがり
先端の輪っかがわらいながら誘惑する
わたしの亡霊

網膜を焦がし
肺を焼き
のどをつぶす
わたしの怒り

こぶしをふりあげても
うちおろす場所のない
この
無様な怒り

周囲に絶えずあった足音が
いつのまにかまったく消え去り
そこではたと気づいた
わたしの孤独


詩はすべて
わたしの亡霊
書いても
書いても
きりがない
実体のないわたし
書いてく
そばから
消えていく

どこへゆくのだらう





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心得

大切なことは
とにかく書くことだ
書きつづけることだ

唇かんで
胸わななかせて
破裂寸前の肺腑から
しぼりつくすまで
しぼることだ

うるさがられようと
つまはじきにされようと
ひとりぽっちになろうと
書くことだ





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自分とむきあうとき
自分がひとつでないことを知る

灰色の部屋にすわっているわたし
その向かいにすわっているわたし
その隣にすわっているわたし
その正面にすわっているわたし
ずっと向こうにすわっているわたし
それをずっとみているわたし

みながいちどきにしゃべりだすとき
わたしの脳内に雑踏がやってくる
ちょっと黙っててくれ
そのたびに叫ぶのだ
部屋で
夜に
道端で
昼に

ちょっと黙っててくれ

誰にいっているのか
自分でもわからない

そういうとき
人がわたしに何をいっても
何も
まったく
聞こえない
そういうとき
視点はとまり
あおざめて
まるで脈も呼吸もとまったように
うつろだと
人は言う

しずかにしているときほど
わたしの頭の中は
騒音でみちている






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シュールな夢がおわり
目をさませば
現実はあいかわらず
やるべきことで満ちている
ちいさな絶望を
ねむけざましの珈琲と一緒にのみくだす

おまえは今日を
いったいどうやって生きるのか
おまえは本当に
もう目をさましているのかと
あさは毎日、ぼくに問いかけてくる
その不必要なほどにあかるいかおで

豊富なひかりの斉射
おしげもないあさのかがやき
そのなかを駅にむかう人々
影もこころなしかまだ軽い
意欲する人々、あるく人々
そのなかの何人が
いま本当に目をさましているのだろう

あさはいつも問いかけてくる
おまえは今日
どのように生きるのだと






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市ヶ谷で
ニュルンベルクで
うなりをあげた
「正義」
さばかれて
ころされた
「悪魔」たち
夏がちかづくといつもかれらを思い出す

「人道に対する罪」と声高に
あることからないことまで
つっつきころばし
もてあそんでいた
市ヶ谷で
ニュルンベルクで
いったいどんな顔でさばいたのだろう

原爆を
落としておきながら

広島で 長崎で
たくさんの命を一瞬にしてすいこんだ
こどもも 妊婦も 年寄りも
軍事的好奇心の贄として
おとせ
と命じた同じ舌で
ころせ
と命じた同じ舌で
人道に対する罪

言ったのだろう


アルメニアで何がおきてる
ダルフールで何がおきてる
ウイグルで何がおきてる
ウクライナで何がおきてる


みんながみんな 共犯者だ






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GOMESS

自閉症の歌い手、GOMESSを知っていますか
歌で泣くなんて、いつぶりでしょうか





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脳内散歩

ズタズタになった心臓から
あるときはにじみ
あるときはふきだすものが
詩だとしたら
枯渇のときがいつかくるだろうか
血はいつか枯れるだろうか
生きながらにして

死んだほうが楽だろうと
おもうときがある
あたまが破裂しそうに痛むとき
外に出れなくなってしまったときの
あんまりにも無慈悲に明るい外を垣間見たとき
自分がなにものかわからなくなるとき
なんのために生まれてきたなんて考えはじめてしまったとき

さらさらとカーテンからもれる風
かつての嘲笑を再生する脳髄の奥の奥
こめかみのにぶいするどい痛み
それから 生活
これらがなんでそしらぬかおで
おなじ土俵にたっているのか
小気味いいくらい 理解しがたい

はりつけの幻像
血みどろの野菜
わらう刺身のおかしら
くろんぼの天使

まっくらやみのなかにひとり
わらうことで
ゆるしをこう

ああ
生活はぼくにぴったりとくっついて離れない
監視している
その視線がいたい

はきたい言葉を我慢していると
腐る
つまさきから徐々に

ああ
薬を飲み忘れていた
そのせいかな
この憂鬱は






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聞くのならぜんぶ聞け

ぼくの病気のことを
ネホリハホリ 不必要に
まるで尋問のように
聞いてくる人が目の前にいるとき
ぼくのあたまには大きな大きな疑問符がおどる



あなたは正常なのですね
あなたは何が聞きたいのでせう
何が聞きたいのか
ぼくはそれを知っています

好奇心だけで人のこころを
どこまでのぞけるか試してみますか
でも
入口あたりでもう満足
すぐに勝手な結論をつけて
注釈くわえなすって ほら嘆息
ぼくのための嘆息とおっしゃるけれど
それあなたの身勝手なむりやりの解決

そんな場面にもうなんど
うまれてこのかたもうなんど
そしてこのさきいったいなんど
立ち会わなければいけないのです
愛想笑いももうよしませう

聞きたきゃ聞いてくだすっていいんですよ
でも答えはいっしょでしょうね
ぼくがどう答えるか関係ないんです
あなたのその眼鏡のいろが
もう答えを仮定している
あなた独自の処方箋を書きたいンです
独自と思うンならあなたのエゴ
ぼくには「何度も繰り返した茶番」

言いたいことおっしゃって
スっとするあなたの顔をみて
透明な中指つきたてるぼくを
想像できないほどにあなたは健康でしょう
あなたがあなたの健康を確かめて 誇るために
ぼくは病人でゐるのぢゃない

「働かないトネ」
そうですね
笑ってしまいます
働きたくとも仕事がない
病気というと門前払い
もちろんメンドウな注釈つきで
そんなご経験ないのでしょう
だから簡単におっしゃるのです

自分だけがオヤ変だ
まわりとどこか違います
ナンダコレこの違和感なんでせう
ねえみなさん なんで満足できるのです
ぼくはひとり
ちがうものを見ているのですか

なんで怒らずにいれるのですか
なんで悲しくならないのですか
なんでそんなに冷静でいられるのですか
コントロールできない感情に
みずからを焼け焦がしたことはないのですか

夜中にベランダで煙草をプカリ
ふかしながら死にたくてひとりで泣くンです
こどもの頃 夏の青いプールでプカリ
水死体のまねしてひとり浮かぶンです
まわりのみんなのかきたてる波が
否応なしに右に左にぼくをゆさぶるンです
そしてそのままどうやら沈んでいくンです
もう浮かび上がっていかなくてもよいと
ざらざら 痛い プールの底で
ぼくはやっとひとりニコリと笑うンです

知らないのでしょう そんな世界
ここはあなたがたの世界ですもの
ぼくにはあまりにも生きづらい
それを聞くのなら最後まで聞け







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あーあだ

仕事さがし
食べるために
仕事さがし
ぼくを売り込む

なんのメリットも見いだせない
こんなポンコツ欠陥商品
誰が買うんだ
セールストークなんて考えもつかない
原発 売る 自民党を わらえない
こんな危険で怠惰な人間
面接じゃ嘘ばっかついてあざむく
虚実まじえてのらりくらりケムに巻く
ああ
もうわかってんだ ぼくは
現場仕事で食べていくしかないんだ
厚生 健康 雇用 労災
社保完はぼくには無理な高望み

仕事のことばっか
一日中 考えつづけてるから
頭がなんかもうスポンジ状態
なんにも考えられなくなって
その分 詩をかく余裕も失って
まさに一石二鳥
飛ぶ鳥おとされる勢い
ちがうか ぼくはまだ飛んでもいないんだ
飛ばぬうちにおとされるデキソコナイ






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どちらをむいても水平線だけ
島も 船も なにもみえない
空には雲とて みあたらない
孤独な沖にあって ひとりもがいてゐる

自分が泳げるのか どうか
それも思い出せないし
どうしてこんなところにいるのかなんて
頭をひねっても思いあたるところもない

荒くれた波と波のあいだに
ひきつるように 空気をすいこむ
もがく あがく ひとりあばれる
この海の 水の なんと重いこと

音はない
ただ言葉だけがある 隔絶の海
空白に埋め尽くされた ああ 空
満ち満ちているのは言葉ばかり

もがくのをやめ
しばしふたつの手のひらで
顔を覆う
なにから守るのか なにを守るのか

やがて紐を解くようにゆるやかに
とかれた手のひら 胸元にとまり
しずかに むなしく 孤立する合掌
見上げた空から 降り刺さる ああ それはまたしても言葉だ

ここは海
海のまんなか
だれもいない
ただ言葉だけがある
空と海をわけへだてるものはわずかな濃淡
人間の孤独の境にあるのもやはりわずかな濃淡

ここは海
海のまんなか
だれもいない
ただ言葉だけがある







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叙事情詩

ことばの暴風雨のなかならば
かさなんかなんの役にもたつわけがない
目をひらけば目の中に 口をひらけばのどの奥のほうに
間断なく打ちつけてくる あいうえおの驟雨

うえむけばどんどん降ってくるっていうのに
とりこぼしてしまった地面の水たまりのぞきこんで
ああ ぼくが映ってる だなんてナンセンス
せっかくの嵐なら楽しんだほうがいいんじゃない

長靴ぬいで 雪駄でもはいて
合羽をすてて シャツだって脱いで
全身耳にして この弾丸みたいなことばの氾濫
とことんまで遊びつくせたならこたえは簡単

降ってくるものぜんぶ みんな吸いこんじまえ
渇ききった時代のもとでみすぼらしく枯れちまった街路の樹
たかだか 市井の一本の樹 だろうが 枯れてなおその姿勢は反抗期
枯れ木にくまなく雨がしみこめば 何度でも言の葉 めぶかせてみせる

切られたって 折られたって 参ったは言わないんだ
葉っぱ全部むしりとられて「まいっか」じゃないんだ
くるしみのなかで深く地下の闇にのばしてきたこの腕
根を広げてきたことにだってそれだけの意味があるんだ

ふきつづけろことばの暴風雨
まだまだこんなもんじゃ倒れっこない
さけびつづけろ罵詈雑言ストーム
そんなんじゃまだまだ殺されない
全然足りないぞ ことばの暴力
しょせん幻像のなかの妄言って程度
もっとだもっと 幻聴でも上等
全部のみこんぢゃって笑ってやるさ

いつでも耳のそばに ことばがあるって異常
だけどそういう人生をもらっちまった以上
耳すませて叫びがなりわめき いどむ戦場
誰にだってあるわけじゃない これがぼくの事情






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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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