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date :2013年10月07日

啄木のうた

わがこころ
けふもひそかに泣かむとす
友みな己が道をあゆめり


石川啄木



「一握の砂」を昨日から読んでいる。

啄木には、哀しいヒロイズムとダダの片鱗を感じる。



友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ




周りの友人を見渡せば、みなそれぞれの道を懸命に歩いていて

ぼくのように、フラフラしているやつなどいやしない。

そろそろ課長になったり、親方になったり

自分の会社をたてたりしているのに

ぼくひとり、まるでばかのように暮らしている。



何がなしに
頭のなかに崖ありて
日毎に土のくづるるごとし




双極性障害というのは、すべて自分のなかの火事であり津波であり

地震であり落雷であるから

人の目にはおよそわかり得ない。

いわゆる普通の人だ、このぼくでさえ。

頭のなかには、そんな天災に似た音が

毎日のようにたっているのだが。



人といふ人のこころに
一人づつ囚人がいて
うめくかなしさ




かなしきは
秋風ぞかし
稀にのみ湧きし涙の繁(しじ)に流るる




いらだてる心よ汝はかなしかり
いざいざ
すこしあくびなどせむ





なんてね。

たまにはセンチメンタルに

少年のこころを癒すのもいいさ。

秋の風がふいてるいまのうちに

一度どこかへ旅にでようか。

ねこも、妻もわすれて

勉学も、仕事もわすれて

ほんの一日か二日ばかり。


なに、せいぜい隣町の喫茶店あたりで

うまくもないコーヒーを少しばかり飲んで

いそいそ帰ってくるのだろう。





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吐きだす

イライラが消えない。

焦りばかりが募る。

自分に腹がたって、仕方ない。


消えてなくなりたい、と思うことも

この頃多くなってきた。


頭のなかに、なにかあるのだ。

不愉快ななにかがわだかまっていて

それがぼくに対して暴言を投げつづける。

ぼくをダメな方へ、引きずりこもうとする。


抵抗をやめれば、いっそ楽になるのだろう。

でも、抵抗をやめない。

抗うことは生きることだ。

ぎりぎりの線で、ふんばり、自分である為に、抗う。


でも、もはや、土俵際なのだろう。

この鬱にだけは、処しきれない。

あまりに大きく、長い波だ。

いや、超える。

超えてみせる。

自分を諦めてはいけない。


なにか、足りないのかな。

なにか、余分なのかな。


どうにでもなれ、と呟いて

そのあとすぐ、首をふって、否定する。

自死、という観念が頭にちらつけば

ダメだ、ダメだとくりかえし、自らを諭す。


停滞はきらいだから、今日も一歩でも前へ。

そうして得た貴重な一歩も、今日のうちに

一歩分、押し戻されているようだ。

そんな日を、繰り返している。


ならば、一歩もあゆまず、とまればいい。

止まってるのも一緒じゃないか。

そうも思うが、

それをぼくは許せない。

もし、一日、一歩もさがらないで済む日があったとき

ぼくは後悔すると思うのだ。

牛歩でいいのだ。



こういう気分で勉強するのはつらい。

こういう気分で仕事するのはつらい。

ねこのお世話でさえ、つらいときがある。

でも、だからといって、

進歩を諦めてしまう自分が、なによりもつらい。


まったく、途方にくれる。



なんて残酷に長い旅路か。

過ぎれば一瞬の夢のようなのだろう。

動きだそうと思うものに

なんと容赦なく苛酷な旅路であることか。

大きな波だ。

恐ろしい渦だ。

逆巻く怒涛だ。

おっと、浅瀬だ。

と思えば、こっちには氷山だ。


一体、旅のおわりにはなにがあるのだろう。

そもそも、おわりなんて、本当にあるのか。

ぼくの求めるものは、見つかるのだろうか。






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宝箱

とある海の、はての、はて。

そこには、すばらしいたからばこが、あるといいます。

王様も、たんけんかも、おぼうさんも、まちのみんなも

そのたからばこのなかは「なんだろう?」しらないのです。

みんな、じぶんでそうぞうして

お金じゃないかしら、とか

えいえんに生きられる薬じゃないか、などと

わいわい、話して、楽しそう。

ほんとうは、なにがはいっているのかな。

それはね、

たからばこしか、しらないのです。

「こんなにすてきなたからものがはいっているんだ」

でも、たからばこは、じぶんで開けることができないのです。

「ああ、一度でいい。

このぼくのなかにある、すてきなたからものを

一度でいいから、見てみたいなあ」

「だれか、ぼくをみつけて、ぼくをひらいて」

たからばこは、ひとり、ため息をつくのでした。

けれども、

王様も、たんけんかも、おぼうさんも、まちのみんなも

せいいっぱい、頑張ったのだけど、

いっこうにたからばこは、見つかりませんでした。


ながいながい時間がすぎて

たからばこのありかをしめす地図も

はんぶんが失われ、はんぶんはもう読めないほどによごれたり

やぶれたりしています。

ひとは口をそろえて言うようになりました。

あんなもの、うそだったんだ。

あんなもの、さいしょから、なかったんだ。

ぼくらは、ゆめをみていただけなんだ。


それでも、

たんけんかのなかには、まだあきらめず

きっとどこかにあるのだと信じて

今日もあれくるう海にたちむかうひともいるのです。


けれども、たからばこは、まだ、みつかりません。


「ぼくを見つけて」

「ぼくをひらいて」

たからばこは、きょうも、誰にも見つかることなく

おおきな海に、ゆうひがおちていくのを見つめています。

たからばこは、きょうもひとりで、きっと、ないているのでしょう。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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