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かつての未来

後悔の薫りがする

数多あった
あの輝かしい未来は
どこに置き忘れてきたものだろう

過去に
たしかにあった
未来のたば
未来は選べるほどにあった
煩雑をとおりこして
滑稽なほどに
未来はわたしの手のひらから
こぼれたものだ

うるさくて
うるさくてたまらなかった
こっちの未来はよいぞ
こっちの未来はよいぞ

十五、十八、二十
ノートの端に並べられた数字
その横には
その歳のころの
なるべき自分
予定
美しい調和
輝く未来

でたらめな活力だけの
その筆跡
まるででたらめ
荒唐無稽

それでも
外が嵐で眠れぬ夜には
己の胸のうちの嵐をせめて
鎮めようとして
書きなぐっては微笑んだものだ

わたしはついぞ
そういったたのしい落書きを
書かなくなっていた

「雨おとを聴くのはずいぶんひさしぶり」
外は夜で雨降りだ
妻の言った他愛もない一言に
わたしは慄然とした

過去
時間がありあまるほどあった過去
戻れぬ過去
終わったもの
とりかえせぬ時間
あのころのわたし
汚い小部屋で
書きさしの短編の構想を練るふりをして
窓の外の雨音を一心に聴いていたわたし
激しい恋をして
大笑いしたり泣きじゃくっていたわたし
シャツを血だらけにして靴をうしない
大雨のなか叫んでいたわたし


思い描いていた未来の輝きを
このいまの生活に見出せぬから
頭をかかえこむのだろう

流すための涙すらもうとうに失い
残された時間のみじかさに驚き
そしてその疾走する時間のふところに
抱きかかえらえてしまっている己の姿が
あまりに不憫で鳴くのだろう

ノートの端に
今の年齢を書く
34
もうその先には
無限のパラレルはない
胸のときめきはそこにはない
焦燥と
厭世と
矛盾と
妥協と
妥協と
妥協と
そして大きな虚無感と
さらに大きな喪失感と
それから
それだけが真理だというような顔で
一番最後には死がかまえている
玉座にすわりこちらを見ている
命の残量のすくなさに
ただただ嗚咽をおしころすことしかできない

いましがた薫製場からでてきた
つかれた農夫のように
体中に後悔の薫りがするのだ

かつてあったあの輝かしい
未来たちは
活力と意欲にみちたあの時間たちは
わたしの気づかぬ間に
いったいどこへ失せたのだ
いったいどこへ失せたのだ
いったいどこへ失せたのだ
わたしの許可もなく

盗まれるようにして
失せていったわたしの命
ちがうでしょう
浪費してしまったわたしの命
歯噛みするほど
悔しくなってしまったから
わたしは後ろをふりかえり
目をこらして探すけれど
その道程は
あんまり急なものだから
ほとんどなにも見えやしない

死が
時間を生むのだろう
だからわたしたちは
いつも時間に追われているのだろう



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secret

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No title

なんだかとても、胸に詰まりました
未来が手から零れ落ちるほどあった頃
まさか自分が将来、こんな病気になるなんて
思いもしませんよね
なるようにしてなったんだと
なってしまったんだと自分を慰めても
とても納得出来るものではありません

でももしかしたら、そのなりたいものになっていなくて
今は良かったのかもしれない
必ずしも成功しているとは限らないし
今よりもっとひどい状況に陥ってしまっているかも
ないものねだりは、自分をもっと辛くしてしまいます

私は今の偕誠さん、好きですよ
今の偕誠さんだから出会えたのだし

そんなに自分を追い詰めないであげてください
私もそうしますから

陽炎さん

コメントありがとうございます

> なんだかとても、胸に詰まりました
> 未来が手から零れ落ちるほどあった頃
> まさか自分が将来、こんな病気になるなんて
> 思いもしませんよね
> なるようにしてなったんだと
> なってしまったんだと自分を慰めても
> とても納得出来るものではありません
> でももしかしたら、そのなりたいものになっていなくて
> 今は良かったのかもしれない
> 必ずしも成功しているとは限らないし
> 今よりもっとひどい状況に陥ってしまっているかも
> ないものねだりは、自分をもっと辛くしてしまいます

そうですね。
幼いころに描いていた「成功」はいまの成功とは違うだろうし
「幸福」も、「大人」も、「夢」も、
年輪をかさねるごとに変容していっているのですから・・・
叶わなかったからいまがある、というわけでもなさそうですね。


> 私は今の偕誠さん、好きですよ
> 今の偕誠さんだから出会えたのだし
> そんなに自分を追い詰めないであげてください
> 私もそうしますから

ありがとう。
そう言ってくれるかたがいるというのは救いです。
うれしいです。
結局のところ、ぼくは書くしかないのです。
これからも自分を追いつめたり、甘やかしたりしつつ
書いていきます。
これからもよろしくお願いします。

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自己紹介

偕誠

Author:偕誠
a.k.a.破裂
1983年生まれ。
東京都在住。
双極性障害と苦闘しながら
詩作に励んでおります。


※拙文ではありますが著作権は当方にあります。
無断転載等はご遠慮くださいませ。

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